薄桜鬼*ひと恋めぐり

□ドキドキの相手
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…そして、就業時間の終わりを告げるベルが鳴り響く中、私はFAX機の前に居た。
 
 
一時間前―…
 
 
『今村、悪いんだが先日会津商事に出した企画書…修正箇所があるらしくてな?あちらの方からその部分だけFAXしてくるとのことだから、届き次第打ち直してくれねぇか?』
 
 
営業課のトップ、土方歳三さんにそう言われた。
 
 
『明日の朝、一番で俺が会津商事に直接持って行くから…少し残業にはなるんだけどよ、頼めるか?』
 
 
『は、はいっ!!わかりました』
 
 
……と、いうわけで先方さんからのFAXを待ってるんだけど一向に届かない。
 
 
左手につけている腕時計に目をやると5時を30分過ぎ…、お千ちゃんや平助くんは先に原田さんの待つ居酒屋へと行ってしまった。
 
 
『…いつになったら…FAX届くのかな…』
 
 
永倉さんも、もう会社を出てるよね……
 
 
すると、ガコンと音がして寄りかかっていたFAX機が動き出した。
 
 
『きたっ!!』
 
 
届いた書類を手にして急いで自分のデスクへと走った。
 
 
立ち上げていたパソコンに大急ぎで修正箇所を打ち込んでいく。
 
 
しかし思っていたよりも枚数は多く…
 
 
しかも『我が社も世のため人のため、地球のためにエコに励まなければならぬ!!』と社長である近藤勇さんが謳っているため、就業時間を過ぎると社内の冷房の電源は落とされ、非常に蒸し暑く…だんだんと集中力も低下していった。
 
 
暑い…、でも頑張らなきゃ!!
 
 
うん!!っと大きく頷き、デスクの端に置いてある電池式の小さな扇風機のスイッチをonにする。
 
 
もちろん、電池は充電式だ。







 
 
 
気合いを入れ直した瞬間――
頬に、冷たくて無機質なものが触れた。
 
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