僕らの3日間戦争
□花びら模様に散らして
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「ぅっ…く…うぁっ…」
さわさわと雨風があたっている屋上で壇は一人泣き伏していた。
小さな体を縮こませて、壁の隅っこに座りながら。
「先…輩っ…なんで…」
ついさっき、死亡者発表の放送があった。
屋上には備え付けのスピーカーはふたつあるので聞き逃すはずもない。
静まり返った空間にブツリとスイッチ音が入った後クラシック音楽が流れて、直後に伴田先生の声がした。
先生は何も躊躇することなく生徒の名前をつらつらと挙げていった。
その中に自分の教え子がいたとしても、声の調子は変わらず平淡だった。まるで、テストの答案を返す時のように。
「室町先輩と、南先輩、東方先輩まで…っ」
最初のうちは、知らない人の名前ばかりだったからなんとか持ちこたえていたのに。
先輩の名前を聞いてからは涙が止まらない。
男の子は泣くなって今まで色んな人に言われてきたけれど、どうにも堪えられそうになかった。
新渡米先輩と喜多先輩は山吹中に残った。だから無事だろう。けど、部長たちはもう―――
ああ、と嗚咽を繰り返し膝を抱えた。
壇は泣きながらも考えた。なんで、皆死んでしまったのか。
死亡者がいるのは…単純に、このゲームに乗った人がいるということだ。
そこで壇はまず、亜久津のことを心配した。
(亜久津先輩……)
乱暴な亜久津先輩。
不器用な先輩。
それでも、優しところがある亜久津先輩。
(無事、ですか……?)
先輩はこのゲームをどう受け止めたんだろう?
あの人は乱暴だけど優しい。
優しいけど……乱暴だ。
でもゲームには乗らないだろう……多分。
じゃあ、誰だろう?このゲームに乗ったのは――
ガタンッ
唐突に屋上のドアが開いた。