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□昼下がり
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後でカルとたくさん遊んであげることを心に決めながら部屋の中に戻ると、赤也はぷぅと頬を膨らませて、拗ねているようだった。
取りあえず隣に座ってツンツンと肩をつついてみる。
「赤也、あかや」
「ふーんだ」
口にだして言ってるあたり本気で怒っているようではないみたいだけど、まだ赤也は俺を見てはくれなかった。
…そんなにカルが好きなんだ?
だったらさ。
「…ほあら」
「えっ?」
「ほっ、ほあらー」
「リョ、リョーマ!!」
突然赤也かが目の前に迫ってきたと思ったら、ギュッと強い力で抱きしめられる。
「リョーマかわいい!!もう一回、もう一回言ってくれよ、な」
「ふーんだ」
赤也の胸を押して無理矢理体を離すと、そのまま顔を背ける。
赤也にかまってもらうという当初の目的は達成したのだから、もう一回鳴いてあげてもよかったんだけど、俺をおいてカルと遊んだお仕置きしないとね。
「頼む、この通り!!」
両手を合わせて懇願してくる赤也を優越感に浸りながら見下ろす。
「…赤也が何でも俺の言うこと聞いてくれるならいいけど」
「聞く、聞きます!」
「ふーん。じゃあ…」
赤也にもカルの鳴き真似をしてもらおうか。それともキスをしてもらって…あぁ、テニスの打ち合いに行くのもいいかもね。
でも、とりあえずは。
「赤也、もう一回抱きしめて」
「そんなことでいいのか?」
「これで終わりな訳ないじゃん」
「そーですね…」
ゆっくりと赤也が近づいてくると、俺の中が赤也の匂いでいっぱいになる。
ぎゅっと抱きしめられた二度目の赤也の腕の中は、昼下がりの暖かい日差しと赤也の温もりで少し暑かった。