陰陽獣

□第十章:ジハドラバ
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龍斗達がシュマリ族の元を出てから数日後




【迅義目線】


蒼漣「完成の時が来たようだ」


ついに鷹虎の居場所へ行くことのできるあの黒魔術が完成する


鷹虎は恐らく2度魔伝承を行っただろう

きっとかなり強くなったはずだ


強さの順でいったら

蒼漣>鷹虎>俺


俺はもう勝てない

しかし蒼漣なら殺れるはずだ


お前を殺して龍斗も滅茶苦茶にしてやる



蒼漣「この完成した薬液を飲めば黒魔術が使えるようになる。半分ずつ飲むぞ」


薬液を半分器に入れる


そして

2人同時に一気に飲み干し、術を唱えた




2人の体は一瞬にして消え



次の瞬間、先程までとは全く別の風景の場所に俺達は居た



迅義「こ、ここは……?」

蒼漣「ボケッとすんな。魔力を高めて闘える準備をしろ」

迅義「あ、ああ」



周りに複数人の魔力を感じる


確実に囲まれている



鷹虎の追跡の黒魔術を使ったんだ

その中に鷹虎達もいるに違いない



迅義「出てこい鷹虎あああ!!」

蒼漣「迅義がお怒りモードだ。さっさと出てこい」



するとその時


「ここには居ない」


1人の男が出てきた



上半身裸でじゃらじゃらと装飾品を沢山つけ狐の面をつけている


と、いうことは



蒼漣「ここが狐の隠れ里か?」

男「………」

蒼漣「お前名前は?」

男「琥珀」

蒼漣「シュマリ族か?」

琥珀「そうだ。それより何故この場所に来ることができた?ここは特別な術で入り口を隠しているんだが」

蒼漣「今はこちらが質問してんだ。琥珀よ、鷹虎御一考を早くここに連れてこい」

琥珀「だ、だからここにはもう居ない」

蒼漣「そんなはずはない。術が導いたんだぜ?」

琥珀「術?もしや……黒魔術か?黒魔術にそういった術があることは知っている」

蒼漣「へー。物知りじゃねーか」

琥珀「だがな、その術は失敗に終わったようだな!本当にここには居ない!随分前に旅立ってしまったわ!」

蒼漣「術が失敗?」

迅義「そんな事は絶対ありえない。俺はともかく、蒼漣は相当な闇属性の使い手だ」

蒼漣「それに、鷹虎の魔力が駄々漏れだ。隠しても無駄だ」

迅義「あいつの事だからシュマリ族とセックスしまくったんだろ?羨ましいぜイケメン野郎は」

琥珀「………」





【琥珀目線】


鷹虎殿

貴方は一体何をしたんです?

何故こんな悪党に追われているんですか?



我々は黒魔術についても研究している

こいつらが使ったと思われる黒魔術は追跡の黒魔術


失敗した理由は恐らく鷹虎殿の魔力は今、何らかの力によって守られているからだと思う


きっとあれだ

凱殿が旅立つ前に鷹虎殿に渡していたあの腕輪

あの腕輪にはきっと凱殿の強力な魔力が備わっている

凱殿は離れていても鷹虎殿達を守っているんだ


ルペカ族は本当に凄い




そして今、鷹虎殿の魔力を世界で1番に感じるここが追跡の対象の場所になったんだ

鷹虎殿の精液を大量に保管してあるからな



ジハドラバに向かった事なんて死んでも言わない!




迅義「だんまりか」

蒼漣「早く連れてこいと言ってるのが聞こえないか?」

琥珀「………」

蒼漣「お前、死にたいのか?」

琥珀「!」


喉元に剣を突きつけてきた


動きが全然見えなかった


迅義「これで最後だ。早く連れてこい」

蒼漣「返答次第で殺すか決める」




シュマリ族全員でかかってもこの2人には勝てない




もう

死んでも構わない


世界がこのまま滅ぶよりマシだ



お前ら

周りで見ていないで早く逃げろ


シュマリの血を絶対に絶やすな


1人でもいいから生き残って鷹虎殿達がジハドラバから持ち帰ってくる宝珠に術をかけるんだ



だから


俺の答えは



琥珀「お前らなんかに居場所を……」


そう言いかけたその時!






柘榴「待ってくれ!!」

琥珀「!!」


周りで見ていた柘榴が出てきた



な、なんで出てきたんだ!!



蒼漣「誰だお前」

迅義「本当に全員が面付けてんだな」

柘榴「お、俺が鷹虎殿の場所へ案内します」

琥珀「!?」

蒼漣「下っぱ君のほうが話がわかるじゃねぇか」

柘榴「……つ、着いてきてください」



2人は柘榴に着いていった




ど、どこへ行くつもりだ柘榴



俺も少し離れて後ろから着いていった






すると


柘榴「お、お待たせしました。ここです」



こ、ここは……

鷹虎殿が「皆が温泉から戻ってくるまでもう少し魔力提供しようか?」

と言ってくれて、何度も射精をして大量に魔力を貯めた壺が保管してある部屋だ



柘榴「た、鷹虎殿、こちらへ」



すると



鷹虎殿が部屋へ入ってきた


いや

違う


こいつは鷹虎殿に化けたシュマリ族だ



部屋へ入ってきた瞬間、2人の魔力が急激に上昇し、戦闘体制へかわった!



蒼漣「会いたかったぜ色男」

鷹虎「………」



床には鷹虎殿の魔力が入っていた壺が空になって転がって落ちていた


全部飲み干したんだ


だから体の内側から鷹虎殿の魔力が溢れているんだ



けどどうするつもりだ柘榴


鷹虎殿の魔力を体内に大量に入れたからといって強くなった訳じゃないんだぞ!?


迅義「魔力を高めないなんて随分余裕だな」

蒼漣「なめられたもんだ」

鷹虎「………」



その時


柘榴「お、俺達は戦いに巻き込まれたくないんで外で待ってます。行きましょう琥珀様」

琥珀「……あ、ああ」





3人を残し俺と柘榴は部屋を出た



柘榴「琥珀様!今のうちに早く逃げましょう!他の者達も今逃げています!」

琥珀「な、中にいる者を見捨てる気か!?」

柘榴「中の者は自らあの役目を引き受けたんです!しっかりしてくださいよ琥珀様!シュマリはあなたがいないと駄目なんですよ!!」

琥珀「……わ、わかった。すぐに皆で逃げ……」








その時




部屋の扉が開いた


すると



鷹虎殿に化けていたシュマリ族の頭だけを掴んだ蒼漣が立っていた


琥珀「あ……あ……」

柘榴「……そ、そんな」



奴等の顔が恐ろしすぎてもう動く事ができなかった
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