陰陽獣

□第七章:奇襲
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龍斗達がエエンレラ大陸に上陸をしたその頃


【緑座目線】


ムートイの町に俺達はまだ滞在していた



「ハァハァ……もう許してください……」


この男は俺達が雇った情報屋の冬馬(トウマ)

俺と同い年くらいのとても若い男だ



只今団員達に廻されている最中だった

中に蒼蘭の姿もあった




あぐらをかいて酒を飲み、その様子を見ている炎樹さん

夢弦さんと俺は炎樹さんの両端に座っていた


冬馬「ハァハァ……ゆ、許して……頼みます……ハァハァ……」

夢弦「団長、だから言ったじゃないですか。若くて団長好みの容姿だけで情報屋は選んでは駄目ですよ」

冬馬「ハァハァ……明日なんです!明日エエンレラ大陸の天候は快晴、上陸するなら明日なんです!!」

炎樹「おお。しっかり仕事できるじゃねーか。やっぱり俺の目に狂いはなかったか」

夢弦「こんな若僧の情報を信じるつもりですか!?」

炎樹「緑座、お前はどう思う?」

緑座「えっ」

炎樹「この情報屋をどうしたいかお前が決めろ。こいつの情報を信じて明日エエンレラ大陸に向かうか、それともこのまま団員達の好きにさせるか」

緑座「お、俺は……」

炎樹「このままなら最後は俺が魔力を空になるまでいかせてやる」

冬馬「ハァハァ!!い、嫌だ!」


ど、どうしよう


緑座「……あ、明日……行きましょうか」

炎樹「わかった。そうしよう」

夢弦「……もう知りませんからね」

炎樹「おめぇら、もう終わりにして明日からの旅の荷支度をしろ」


団員達は最後冬馬にぶっかけその場を後にした



冬馬「ハァハァ……ハァハァ……」

炎樹「さて、最後は俺だな」

冬馬「!!?」

炎樹「緑座、お前も一緒にこいつとやろうぜ」

緑座「えっ!?」

冬馬「ハァハァ……も、もう勘弁してくれ……」

炎樹「それとももう勘弁してやるか?緑座、お前が決めろ」

緑座「えっ……じゃ、じゃあ……もう解放してあげ……」


その瞬間





緑座「う、あああ……ああああ!!」


冬馬の首がなくなっていた



夢弦「あーあ。まだ若かったのに」

緑座「う、うっ……」


は、吐きそう……


夢弦「緑座、お前が殺したんだぞ」

緑座「そ、そ、そんな!俺はただ!」

夢弦「かわいそうに」

炎樹「おめぇら、もう黙れ」

夢弦「はいはい」


誰かを殺したあとの炎樹さんはいつも最高に機嫌が悪い


だったら殺さなきゃいいのに!



炎樹「緑座、食糧を盗みにいくぞ」

緑座「は、はい」



俺はずっとこのままこんな残虐な人の側にいていいんだろうか









民家から食糧を盗み、船に戻った


炎樹さんと別れ、自分の部屋へ行った


蒼蘭「あの情報屋どうなった?」


自分の部屋といっても蒼蘭と2人部屋だ


緑座「……死んだ」

蒼蘭「あーあ。やっぱり死んだか」

緑座「…………」

蒼蘭「団長って何考えてんだろうな。すぐ怒ってすぐ殺す。まるでガキだな」

緑座「そんな風に言うなよ……」

蒼蘭「確かに強くて格好いいぜ?それは認めるけどよ、あの性格はないな」

緑座「……優しいとこもあるし」

蒼蘭「へー。あーあ、1回でいいから団長にぶっこんで泣かせてみてぇな」

緑座「はぁ?」

蒼蘭「団長が涙流して喘ぐ姿想像してみろよ。すげーエロくね?」

緑座「そ、そうかな……」



その時だった




コンコンコン


緑座「えっ?」


俺達の部屋の窓を誰かがノックをする


蒼蘭「誰だ?」

緑座「さ、さあ?」


蒼蘭は部屋の窓をあけた


すると



緑座「な……!?」

蒼蘭「な、何であんたがここにいるんだよ!?」


そこにいたのはなんと


迅義「よう。とりあえず中に入れてくれ」


ベケウ村にいるはずの迅義先生だった




緑座「じ、迅義先生どうして!?」

蒼蘭「な、何やってんの!?」

迅義「それは俺のセリフだ!お前ら一体何してんだよ!?」

緑座「と、盗賊に入った事を怒ってるんですか?」

迅義「違う!確かに何の知識も力も金も無く鷹虎を探す為に世界へ飛び出したのならどこかの盗賊団に入っちまうのが1番いいだろう」

蒼蘭「じゃあべつに何の問題もないじゃねーかよ」

迅義「お前らが入った盗賊団に問題があるんだ!……いや、問題があるのはあの団長だな」

緑座「炎樹さんを知ってるんですか?」

迅義「あの団長はちょっとした有名人だぞ」

緑座「ゆ、有名人?」

迅義「ああ。残虐で有名な盗賊でな」

蒼蘭「あー、やっぱあの人イカれてんだ」

迅義「赤子に子供に年寄り、それに仲間だって容赦なく殺す」

緑座「……別に……」

迅義「?」

緑座「そんな事もう知ってますよ。だから何なんですか?」

迅義「な……」

蒼蘭「ガキやジジイが殺されるとこなんて何回もみたっつーの」

迅義「お前ら、荷物を用意しろ。今すぐ逃げるぞ」

緑座「え!?」

蒼蘭「なに冗談言ってんだよ?」

迅義「冗談なんかじゃねぇ。あの団長から離れないとお前らもいつか殺られるぞ」

緑座「……もしかして迅義先生は俺達が心配でずっとつけてたんですか?」

迅義「…………」

蒼蘭「つーか俺はもうベケウ村には帰らないから」

迅義「な……で、では鷹虎はもう諦めるのか?」

蒼蘭「別に。あんな程度の男そこらじゅうにいるし」

迅義「お、お前はどうすんだ緑座」

緑座「……お、俺は……」



蒼蘭が言ってる事は間違ってる

鷹虎先生みたいにあんなに格好よくてしっかりしている人は滅多にいない


蒼蘭は強がっているだけだ


鷹虎先生は龍斗の事しか見えてないから



龍斗さえこの世からいなくなれば……




……あっ


お、俺は……なんて事を考えてしまったんだ……



炎樹さんの近くにいるせいか、俺も残虐な性格になっちゃってきてるのかな



けど……残虐な性格の炎樹さんの事が



緑座「お、俺も残ります」

迅義「な!?お、お前らどうしちまったんだよ!?」



鷹虎先生と同じくらい好きでたまらない
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