陰陽獣

□第一章:儀式
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16歳

この世界では成人の仲間入りをする年齢であった


【龍斗目線】


俺の名前は龍斗(リュート)



ベケウ村に住む16歳になった1人だった


ベケウ村は小さな島国に1つだけある村

海では色々な種類の魚が獲れ、ジャングルでは動物、森では多種多様の植物が採れ、食べ物には困ることのない村だった



16歳になると次から次へと様々な儀式を行うのがこの世界では昔からの習わし

地方によっては無かったりする儀式もあるし、村や街によってやり方も違う




今日はその数ある儀式を何種類か行う日だった




成人と言われててもまだ学生の俺達

先生と一緒に夜中に出発して船で本島まで行きそこから更に険しい道のりをゆき、ある山へと登った


その山は浄化滝とゆう大きな滝がある事で有名だった


内容は知らないが、ベケウ村の16歳の儀式では毎年この山に登る事は知っていた


ま、予想ではその浄化滝に打たれて体を清めるみたいなやつだろうけど




その浄化滝の音が段々と大きく聞こえるようになってきた


陰の匂いもプンプンする


少し歩くと滝の方へ行く道と滝から離れて山奥へと行く道への分かれ道となった


当然滝の方かと思いきや……


反対の山奥へと続く道へ入っていく先生


龍斗「先生滝じゃねーの?!」

先生「滝?浄化滝には用事はないなー」

龍斗「え!?みんな滝行くと思っただろ!?な?な?」


みんな首を縦にふる


先生「無駄口たたくんじゃない!山に入った時点で儀式は始まってると思え!」

龍斗「つーかまだ歩くんすかぁー?」

先生「龍!!儀式やめて今ここで山降りてもいいんだぞ?」

龍斗「す、すんませーん、黙りまーす……」


今日の先生なんかこえー


俺の担任の鷹虎(タカトラ)先生

厳しいけど生徒想いの超男前の先生だ


鷹虎「まだ結構距離あるなぁ……」


腕組みをして考えこむ先生


鷹虎「うむ……では杖だして瞑想と水分補給しろ」



この世界では念によって作られた魔力の杖を1人1つ所有している

普段は杖は隠れているが、念じればすぐに取り出すことができる

これは学校で教わらなくてもだいたいみんな7、8歳頃になればいつのまにか遊び感覚で取り出す事ができるようになっていた

取り出す事はできるが杖は1人1人かたちも性能も違う

杖に様々な能力を覚えさせる事によって初めて役に立つようになる



俺も念で作られた杖を取り出し、地面に突き立て、瞑想をして体力を回復させた

瞑想は1番最初に学校で覚えた能力だった



ふぅ……生き返ったぜ


杖をしまい水筒の水を飲みながらふと先生を見た


龍斗「!!」


す、すっげえ杖……


龍斗「せ、先生の杖でけえ!!いつもよりなんででかいんすか!?」

鷹虎「神聖なこの山の影響だな」

龍斗「え?でも俺の杖いつもと変わらなかったんすけど」

鷹虎「まだこの山の陰の力を体の中に取り入れる力が弱いんだろうな」

龍斗「でも俺陰の匂いプンプンしてすげえ気持ちいいんすけど」

鷹虎「匂い……?」

龍斗「この匂い嗅ぐとなんかチンコがジンジン反応しちゃうんすよーほらほら」

鷹虎「あ、アホ!!脱がんでいいわ!」


大きな先生の杖で頭を叩かれた


龍斗「い、いってぇー」

鷹虎「うまく杖出せない者はおらんかー?」


すると数人の生徒が先生の元へやってきた

その中に俺の親友の緑座(リョクザ)もいた


龍斗「あれ?緑座?なんで杖だせねーの?いつも出るじゃん」

緑座「……わからないんだ」


先生は自分の大きな杖を緑座の前に突き立てて瞑想をして回復させてあげている


瞑想中の先生の顔かっけー



鷹虎「ほれ終わったぞ」

緑座「ありがとうございます」

鷹虎「ここで杖を出せない者は、山の陰の力を体内に取り入れやすい体質で、コントロールが出来ない者なんだ」

緑座「じゃ、じゃあ別におかしくなっちゃった訳じゃないんですね!」

鷹虎「ああ。安心しろ」

龍斗「良かったな緑座」

緑座「ああ」

鷹虎「では皆出発しよう。また私語禁止だ!いいな龍斗!」

龍斗「なんで俺だけに言うんすかー?!」

鷹虎「よし行こう」


し、シカトかよ!!







しばらく歩き、日が落ちる頃にやっと


鷹虎「着いたぞ」


儀式が行われる木造のかなり大きな寺院へ着いた


鷹虎「では各自決めていた部屋へ行き休憩をしろ!1時間後に本堂集合!儀式を行う!杖が出せない者は俺の部屋に来なさい!瞑想してやる」

龍斗「杖出せるけど先生の瞑想受けてみたいんすけどー」

鷹虎「駄目だ!却下」

龍斗「えーっ!ひどっ……」

鷹虎「あ、それからいい忘れてたが、俺達の他にも今日ここに旅人が沢山泊まっているからな!失礼のないように!遊びに来てるんじゃないんだからな!では解散」



そして俺は自分の部屋へ行き杖を取り出し瞑想をした



1時間後に儀式って……飯は何時になるんだよ!?

風呂は!?


つーかこんな夜に行う儀式って何なんだろう……?



体力を回復し終わり、緑座の部屋へ遊びに行くことにした


龍斗「緑座ー!いるかー?」


部屋の外から呼び掛けても緑座の返事はなかった



あ、そうか!緑座はこの山だと杖出せねーんだっけ

鷹虎先生の所に行ったんだな



部屋へ戻る途中、廊下で何人も旅人とすれ違った


本当すげー来てるんだ


この山に修行しに来てるのかー



ま、いいや


部屋で少し寝よっと
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