陰陽獣

□第十三章:決戦
3ページ/15ページ



【龍斗目線】


コルカの都の風呂屋で俺が陽太を殴ってしまった後の話




俺が陽太を殴ったりしたから鷹虎先生はきっと怒っている


龍斗「……お待たせっす」


外には凱さん、飛月さん、鷹虎先生

それとその鷹虎先生の横には陽……



……あ、あれ?


龍斗「……陽太は?」

凱「それが居ないんだよ」

龍斗「えっ!?」

飛月「確かに俺達より先に風呂を出ましたよね」

龍斗「は、はい」


陽太の奴、怒ってどっか行っちまったのかな……



鷹虎「…………」


た、鷹虎先生……俺の顔を見ない


どうしよう




凱「なんだか鷹虎はおかしな事言い始めるしなー」

龍斗「え?」

飛月「鷹虎様、大丈夫ですか?」

鷹虎「俺は別に普通だぜ?何にもおかしな事は言っちょらんし!」

龍斗「え?ど、どういう事すか?」

鷹虎「俺は陽太なんて奴知らんよ?誰だよ陽太って」

龍斗「え!?」

凱「な?変だろ?」

龍斗「陽太っすよ?俺より年下で金髪の優しい目をしたガキっすよ!?」

鷹虎「……だから知らんって!皆で俺をおちょくっとんのか!?」

龍斗「鷹虎先生が将来を共にしたいって選んだ相手ですよ!?」

鷹虎「はぁああ?んなふざけた話あるか!俺はな……その……将来は……」

龍斗「??」

鷹虎「と、とりあえず陽太なんて奴は知らん!」







【陽太目線】


風呂の着替え場で羽織を着て、表口からではなく裏口から外へ出た

するとそこには1人の男が待っていた


陽太「こんなとこいたら魔力察知されてバレるよ。あっちの仲間にすげぇ強い人いたから」

男「問題ない」

陽太「あんた闇属性で気配と魔力消すのうまいけど一応少しここから離れない?俺の事探し始めるかもしんねーし」


風呂屋から離れ都の外れの高台へ移動した


男「うまくいったのか」

陽太「めっちゃうまくいったし。でも計算外だったのがさ彩虹石の持ち主がすっげぇかっけーの!」

男「そうか」


相変わらず無口なおっさんだなぁ


この人は五指獣のメンバーの黒曜

闇属性の38歳。メンバー最年長

身長190p。氷騎の次に背が高い

超無口だけど氷騎に負けないくらい鍛えていて頭もすげぇいい







約1年前の話


陽太「えー!?何で俺がそんな役なんだよー!それに黒曜のおっさんとペアで動くなんて嫌だし!超無口なんだもん!」

黒曜「…………」

水無月「お前はまだ団に入って日が浅いだろ?五指獣の手配書にもまだ顔が載ってないからな」

氷騎「お前セックス好きだろ?適役じゃねぇか」

陽太「でもなぁ……」

紅蓮「でもじゃねーんだよ。やれよ」

陽太「……わ、わかったからそんな怖い顔しないでよ団長」

紅蓮「ん?怖かったか?わりぃわりぃ」

陽太「ミッションがうまくいったら1日団長を独り占め!約束だよ!」

紅蓮「わかったわかった。うまくやれよ洸大。いや今からお前はしばらく陽太だ」

陽太「陽太?なにそれ」

水無月「洸大は太陽の光を操る魔法が得意だから太陽を逆さにして陽太。団長が考えそうな単純な名前ですね」

紅蓮「んあ!?てめぇまた俺を馬鹿にしただろ!」

水無月「薬の素材集め行ってきます」


水無月は逃げるようにどこかへ行ってしまった


紅蓮「ぜってーあいつあとでぶっ殺す」



半年前に五指獣には風属性の乱舞とかいう人がいた

誰かに殺られたらしい

俺はその乱舞の代わりに紅蓮様にスカウトされて五指獣に入った



氷騎「洸大、いや陽太か。お前ちゃんと自分のやることわかってんだろうな?失敗は許さねぇぞ」

陽太「わかってるって」

紅蓮「この間入団したばかりなのにこんな役目させてわりぃな」



……ぜってー悪いなんて思ってないし





黒曜のおっさんの黒魔術と水無月の魔法で調合された秘薬

その秘薬の効果はしばらくの間自分の魔力を抑える事ができる効果だ

レベル8の俺はこの薬でしばらくレベル1〜2程度になる


1度飲めば約1年程効果があるらしい


陽太「えー!?1年も俺は弱いまま?」

氷騎「水無月が解毒の薬も用意してるって言ってただろ」

陽太「そんな事言ってたっけ」

紅蓮「ただし1年で薬が切れてミッションが達成されてなかったらまた薬追加だ」

陽太「……はーい」



俺、五指獣に入って本当に良かったのかな

このイケメン団長を筆頭に全団員なんかこえーし







世界で1番でかい港町リノア

ここで俺は今日から彩虹石の持ち主を探す日々が始まる


世界中の人間が訪れるリノア

魔力が高い人や鍛えている人を中心に夜の相手をした


いくら世界1の港町だからといってそううまく彩虹石の持ち主が現れるなんてあるわけがない


と思っていたが


黒曜と水無月が作り出した秘薬には、本来の輝きを無くしたかつての誰かの彩虹石が素材として使われていた


この秘薬を飲めば現在の彩虹石の持ち主と俺は自動的に引き寄せられる


だからすぐに見つかる


そう思っていたのに全然見つからないし!!



リノアに来てからもうすぐ1年になる



陽太「ねぇ、本当に薬効き目あんの?全然現れねーじゃんか!調合失敗してんじゃねーの!?つーか本当に使った素材は効力を失った彩虹石だったのかよ!?そんな貴重な石なんで持ってたんだよ!」

黒曜「効力を失った彩虹石はそこまで貴重な物ではない」

陽太「は!?」

黒曜「昔から何人の彩虹石の持ち主がいたと思ってるんだ?持ち主が死ねば新たな持ち主がまた誕生する。その繰り返しをしていれば効力を失った彩虹石なんざ沢山存在するだろ」

陽太「……あ、あんた普通に喋る時もあるんだね」

黒曜「さっさと今日の相手を見つけろ」


そう言うと黒曜は素早く消えていった



あーあ

もうセックス飽きたー!



世間のイケメンと呼ばれてるレベルの男でも、もう並レベルにしか見えなくなってきたし

紅蓮様くらいイケメンなら毎日でもいいんだけどなぁ



そんな人いねーかなぁ



あーあ……いるわけねーか





陽太「………ん」






おおおおおお!?



なんだあの顔をターバンで隠してる人


背高いしいい体してる!

ターバンで顔隠してるけどイケメンオーラが全く隠しきれてない!


その人は酒場へと入っていった





そこで鷹虎さんと出会うことになる



そしてその日の夜に鷹虎さんと繋がった


鷹虎さんが射精する寸前の瞳の色を見て俺は確信した



ついに彩虹石の持ち主が現れた


こんなに格好いい人が彩虹石の持ち主だったなんて



俺が飲んだ秘薬には魔力を抑える他にもまだ特別な効果がある


その効果とは俺の事を好きにさせる効果だった



このままずっと鷹虎さんと……


そんな事も考えてしまったが、俺の薬の効果が切れれば鷹虎さんは俺の事を忘れてしまう、そんな効果も秘薬に含まれていた


十分に鷹虎さんと短い幸せな日々を過ごし、俺は黒曜から預かっていた別の秘薬を鷹虎さんの飲み物に混ぜた

飲んだ時一瞬「ん?」といった顔をしたが間違いなく飲んだことを確認した



これで鷹虎さんの居場所がいつでもわかる魔法をかける事に成功した


これで紅蓮様に報告して鷹虎さんから彩虹石を奪ってもらう


陽太「ていうかあんたのほうが鷹虎さんより強いんだし紅蓮様と合流しなくても殺っちゃえばいいんじゃないの?」

黒曜「駄目だ。紅蓮様は彩虹石の持ち主の瞳を奪う前に実際に会うことを望んでいる」

陽太「どーせやりたいだけでしょ?」

黒曜「さあな。あとは薬の効果が切れる前にお前も奴の前から消えろ」

陽太「はーい」

黒曜「俺と話しているとこを見られたらまずい。さっさと部屋に戻れ」




それから俺は鷹虎さんから旅をしている目的を教えてもらい、一緒に旅をしている仲間とも合流して皆で風呂屋へ行った


その時

俺は自分の体にどんどんと魔力が戻っていくのがわかった



マジか

こんな突然薬の効果が切れるのかよ




鷹虎さんと一緒にいれるのはここまでか



さよなら鷹虎さん
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ