陰陽獣
□第十二章:五指獣
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飛月「国王から聞いた話なので全てではないかも知れませんがお話いたします。1年半程前のある日、ジハドラバに五指獣の団長紅蓮と水属性の水無月、そして当時団員だった風属性の乱舞(ランブ)がやってきました」
【獄禅目線】
飛月「こ、国王!!物凄い高魔力の者が3人もジハドラバに!!」
獄禅「わかってるから落ち着け」
飛月「お、落ち着いてなんかいられませんよ!もし敵だったらどうするんですか!?」
獄禅「うむ。いつもはお前が客人を出迎える役だが今回は俺が行こう」
飛月「き、気を付けてください!」
黒竜に姿を変え3人の元へすぐに向かった
辿り着いたその場所はジハドラバの入り口の門がある場所ではなかった
獄禅「ようこそジハドラバへ。俺が国王の獄禅だ」
高魔力の男が3人
1人はレベル9
こいつは明らかに俺より強い
あとはレベル7と8か
こいつら敵だったら相当やばいな
紅蓮「すっげぇ!!黒竜!マジでかっけぇ!!それどうやってんだ!?」
獄禅「これは竜化と言う魔法の一種だ」
紅蓮「竜化!?初めて聞いたぜそんな魔法!水無月知ってたか!?」
水無月「知ってましたよ。というか以前竜族について調べた事を報告した時話しましたが?」
紅蓮「マジか!?覚えてねーわ!あっはっはっは!」
水無月「竜化とは竜系の陰陽獣の血が流れている者なら誰でも習得できる魔法。一時的に竜の姿に限りなく近づけ、魔力を大幅に上げる事ができる」
紅蓮「おお!!」
水無月「完全に竜になった訳ではないので人間の言葉も話せるし、性交の時には性器もはえ魔力を高め合う事も子を作る事もできる」
獄禅「すげぇ詳しいんだな」
紅蓮「竜化かぁ。いいなぁそれ」
獄禅「ところでジハドラバへはどうやって来たんだ?ここへは隠しの門からしか来れないはずなんだが」
紅蓮「乱舞。見せてやれよ」
獄禅「?」
術を唱え始める乱舞
すると!
獄禅「な……!?」
なんと空間に穴を開けてしまった!
紅蓮「乱舞は空間に穴を開けて隠れている場所や物を見つける事ができる相当レアな魔法が使えるんだぜ」
獄禅「す、すげぇな。……で、お前達は何者だ?ジハドラバに何をしに来たんだ?」
紅蓮「俺達は五指獣。俺が団長の紅蓮だ。聞いたことくらいあるだろう?」
獄禅「いや、ないな」
紅蓮「し、知らねーの!?そこらに賞金首の紙貼ってあんだろ!?俺達もまだまだだな。つーか知っとけよな!」
団長の紅蓮
無邪気な笑顔をよく見せる明るい性格
年齢は20代後半くらいかな
羽織越しでもよくわかる鍛えぬかれた体だ
あのバネのある筋肉なら相当早く動けるはずだ
獄禅「で、ジハドラバには何をしに来たんだ?」
紅蓮「俺達は盗賊だ。とある物を集め世界中を探している」
獄禅「とある物?なんだそれは?」
黒竜の姿でいるといつもより短気になってしまう
黒竜の姿を人間の姿に戻した
紅蓮「おおおー!?人間の姿もお前やばいな。すっげぇタイプだ!」
獄禅「それはどうも。俺もお前タイプだぜ」
水無月「だ、団長!」
紅蓮「ん?」
水無月「あ、あの腕見て下さい!」
紅蓮「!!!」
いきなり紅蓮が魔力を上昇させる
それまでの無邪気な笑顔が一気に鬼のような形相に変わった
紅蓮「……それだよそれ」
獄禅「……?」
紅蓮「探し物っつーのはその腕の事だ!!」
獄禅「!!?」
紅蓮「やっぱ王族の血が竜の刻印を持っていたか」
獄禅「りゅ、竜の刻印!?」
紅蓮「とある竜の一族の腕に生まれた時から現れる刺青、通称竜の刻印。それが今俺達が集めている物の1つだ」
獄禅「………」
紅蓮「それ、くれよ」
獄禅「腕ごと渡せってことか?」
紅蓮「当たり前だ。大人しくしてれば腕だけもぎとって持っていく。暴れたら仕方ねぇから殺す」
獄禅「あっはっは!何を言ってんだよ。大人しくしてれば腕だけ持っていく?そんな殺意剥き出しでか?」
紅蓮「お前が色男だから殺意がうまく消せねぇんだよ。うまそうで我慢できねぇよ。本当は殺す前にセックスしてぇけどやらせてくれねぇだろ?だから殺した後にぶっこむ事にしようか」
……や、やばいな
完全に目がいかれちまってる
このままだと殺される
うーん、どうしたもんか……
そういえばここからギルナ山が近いな
それなら
こうするしかないな
黒竜に姿を変え、全力でギルナ山へ向かった
奴等もすぐに後を追ってきた様子だ
3人の中に風属性がいるらしいな
すげぇ速さだ
だが、俺のほうが断然速い
そしてしばらく飛び続けギルナ山に到着した
俺1人では勝ち目はない
あいつに頼むしかない
獄禅「銀!!!出てこい!!」
そう叫ぶとすぐに
銀牙「国王?今日はセックスする約束の日だったか?」
獄禅「いや違う。お前も気付いただろ?このバカでかい魔力を」
銀牙「ああ。敵なのか?てっきり国王の客人だと思ってたけど」
獄禅「相当やべぇ奴等だ。サシでやったら100%負ける」
銀牙「それ冗談?マジで言ってんの?」
獄禅「マジだマジ!お前の力が必要なんだ」
銀牙「わかった。国王の頼みなら俺は何でもきく」
獄禅「助かるぜー!だから大好きなんだよな銀は!」
銀牙「終わったら沢山してくれるか?」
獄禅「あったりめぇだろ?何発もやってやるよ」
銀牙「黒竜の姿でだぞ?」
獄禅「あっはっは!相変わらずお前は変わったのが好きだなぁ。俺が黒竜の姿ならお前はシルバードラゴン(銀竜)の姿になれよ」
銀牙「そんなの当たり前だ。そうしないと黒竜の時の国王のチンコのでかさに体が耐えられなくて死んでしまう」
獄禅「そだな」
銀牙「仕事だからって後回しは無しだ」
獄禅「ああ」
銀牙「約束だぞ」
獄禅「ああ約束だ」
銀牙「……奴等、来たみたいだ」
獄禅「だな。お前もまずは銀竜になっていろ。奴等がどう出るかで竜化を続けるか自分でその都度判断しろ」
銀牙「わかった」
竜化は確かに飛ぶこともできるし魔力も防御も格段に上がる
しかし魔力の消耗が早い事と、接近戦で素早く魔法攻撃を繰り出すような戦いには不向き
体が大きい為狙われやすくもなる
相手に合わせて竜化するかを決める
これが竜化の基本だ
竜化で銀竜に姿を変える銀牙
そしてすぐに奴等は乱舞というやつに掴まり飛んできた
乱舞
レベル8、風属性
精神の乱れを全く感じさせない冷静で無口な性格
水無月
レベル7、恐らく水属性
頭が良く団長の世話役
回復魔法のスペシャリストといった感じか
バランスのとれた3人
マジで相当ヤバい奴等だ