陰陽獣

□第十二章:五指獣
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現在確認されている世界の盗賊団の中で最も有名と言っても過言ではない盗賊団

それが五指獣

団員はわずか5人

しかし5人全員が世界的レベル7以上


世界には沢山の盗賊団が存在するがここまで高レベルの者が集まる盗賊団は五指獣だけと言われている


五指獣の名の由来はその名の通り5本の指をあらわしている


紅蓮(グレン)
五指獣の団長
レベル9
炎属性


黒曜(コクヨウ)
頭脳明晰で冷静な性格
レベル8
闇属性


氷騎(ヒョウキ)
団1番の怪力
レベル8
氷属性


水無月(ミナヅキ)
団の治療係
レベル7
水属性


洸大(コーダイ)
1年前に団長にスカウトされて入団したばかり
レベル8
光属性



この5人の情報は世界中の城下町や村の壁などに超高額な賞金首の手配書として貼られている

公開されている情報は名前とレベルと属性のみで顔は公開されていなかった

存在は知っていても顔を知る者は少なかった





【鷹虎目線】


鷹虎「あ、あの五指獣がどうしてここに!?」

琴夢「奴等はこの村に奉られていた紫雲の短刀を持っていったんだ」

鷹虎「紫雲の短刀?」

夜霧「短刀と言っても武器としては全く使い物にならない代物。だが特別な魔力が封じ込まれている短刀だと昔から言われていてイシュアの守り刀として奉っていたんだ」

鷹虎「何故奴等はそんな短刀を?」

琴夢「わからない!けど自分達ならこの短刀の力を使いこなせると言っていた」

鷹虎「武器として使うって事か?」

夜霧「んなの知らねぇ!」

琴夢「死にたくなかったからあんな短刀すぐに渡したんだ」

夜霧「元々イシュアの皆もあんな短刀の存在すら忘れてたしな」

鷹虎「だからってなんでコルカに毒を!」

琴夢「五指獣の水無月が村を出ていく時に短刀のお礼だと言って俺達に毒液を渡してきたんだ」

夜霧「これでこの村が世界1の酒の村になると言って、使い方も詳しく教えてきたんだ」

鷹虎「だ、だからって使う事ないだろ!」

琴夢「そんな事言ったって使わないとそのうち殺されちまう気がしたんだよ!あの場に居なかったお前には奴等の恐怖はわかんねぇだろうけどな!」

鷹虎「くそ!!」

夜霧「悪いが、コルカはもう終わりだ。昔同じような事があったらしいがあの時は誰かの強力な魔法かなんかで毒を吸いとって大丈夫だったらしいが、今回はもう駄目だろうな」

琴夢「さぁ!正直に言ったんだ!!もう村から出てってくれ!」




俺はイシュアの村を出てコルカへ戻る事にした



あいつらをあの場で殺しても良かった



だが

この世界からいきなり2つも上質な酒が消えるなんて

それはしてはならん






そしてコルカへ戻り龍斗と凱に今あったことを話した


龍斗「え!?じゃ、じゃあコルカはもう……」

鷹虎「ああ。もう手遅れだ」

龍斗「そんな……」

凱「昔コルカが毒にやられた時は龍斗が吸いとって救ったって羅悟が言ってたよな?」

龍斗「でも俺全然覚えてないっす。だからどんな魔法使ったとか全くわからないっすよー」

凱「だよなー」

鷹虎「俺達にはどうする事もできないな」

龍斗「くっそ!!羅悟さん絶対悲しんじゃう……」

鷹虎「そだな」

龍斗「その五指獣って奴等、ぜってぇ許さねぇ!マジで盗賊なんか大っ嫌いっすよ!滅べばいいのに!」

鷹虎「………」






そして数日後

コルカの酒はあっというまに全滅した



協会の集まりでルマナに行っていたコルカの長の麗水殿がすぐに帰って来た

酒蔵で泣き崩れる麗水殿と杜氏達


掛ける言葉が見つからなかった



鷹虎「龍斗、凱、もう行こう」

龍斗「……俺、悔しいっすよ」

鷹虎「俺もだ。でもどうする事もできなかったんだ。さぁ宿へ戻ろう」

龍斗「……本当に鷹虎先生そう思ってますか?」

鷹虎「……え?」

龍斗「……全然悲しんでる顔してないっすよ」

鷹虎「な、何言ってるんだよ!?悲しいに決まってんだろうが!」

龍斗「……どーだか」

鷹虎「……な、なんじゃいその態度は!」

龍斗「本当はどうでもいいと思ってんじゃないすか?」

鷹虎「あ!?なんでだよ!」

龍斗「いつもそうじゃんか!興味無い事には全く感情が無いっつーかさ!」

凱「龍斗。言い過ぎだぞ」

龍斗「すぐに目の色変えてぶちギレるし!」

凱「こーら。もう黙るんだ龍斗」

龍斗「昔からそう思ってたんすよ!鷹虎先生からあんまり人間っぽさを感じな……」


その瞬間


俺は最悪な事をしてしまった





パンッ!!!









龍斗をビンタしてしまった



龍斗「っっい……」

鷹虎「……え……あ……りゅ、龍……す、すまん!お、俺……」

龍斗「……でた、その目の色!」

鷹虎「りゅ、龍……俺はなんて酷い事を……」

龍斗「た、鷹虎先生なんて大っ嫌いだぁあああ!!!うわああああ!!」


龍斗は大粒の涙を流して走って行ってしまった


鷹虎「りゅ、龍!!待ってくれ!!」


すぐに追いかけようとしたが


凱「鷹虎、待て。俺が龍斗を追うから」

鷹虎「で、でも!!」

凱「きっと龍斗はコルカの都のこんな姿を見て気持ちが不安定になってて鷹虎にあんな事言っちゃったんだろう」

鷹虎「わ、わかっちょる!そんな事わかっちょるのに何で俺は龍斗に!!」

凱「鷹虎、落ち着いたら宿に戻ってこいよ。1つの都の終る瞬間に立ち会ったんだ。誰でも不安定になる」


凱は走って龍斗を追いかけて行った







何やってんだよ


1番やっちゃ駄目な相手に

1番やっちゃ駄目な事を





本当にこんな自分が嫌いだ



龍斗が言ってた事はそんなに間違ってはいなかった


コルカの都がどうなろうと

俺には関係ない


それよりも毒に侵されたコルカにいる龍斗が無事で良かったという想いで頭の中がいっぱいだったんだ



何で俺はこんな性格なんだろうか


やはり人殺しをしてきた盗賊の血は消える事はないのか








路地裏を歩いていた時







九土「よお、鷹虎」

鷹虎「………」

九土「う、うわっ!!お前、なんちゅう目の色してんじゃい!?」

鷹虎「………」

九土「あーあ。コルカは終わった。あっけなかったのう。だが俺はどーでもいいんじゃい」

鷹虎「……それは……お前も盗賊だったからか?……だから……何の感情も湧かないのか?」

九土「んあ?まぁそれはあるかもなー」

鷹虎「………」

九土「さーて。これからどうしようかなー。お前に着いていって一緒に旅でもすっかなー!」

鷹虎「………」

九土「あ、その前にお前のツレ達にお前が元盗賊だったっちゅう事話しちゃおっかなー」

鷹虎「………」

九土「ん?嫌か?」

鷹虎「………」

九土「んじゃ黙っててやるから、あのツンツン頭のガキと1発やらせ……」








俺は




鷹虎「……ハァハァ……ハァハァ……」


九土の心臓をえぐり握りつぶしていた







俺はこんな人間なんだよ


龍斗
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