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□優しい人
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『あっ、これ可愛い。欲しいな〜』
わたしは一人で誰かに甘えるような声を出していた。
ジュニョンはわたしをジロリと睨む。
こわ。
「買えばいいじゃん」
『金欠なう』
「買ってあげようか?」
『いい』
わたしは即答した。
そうゆう気持ちはありがたいけど貢がれるのとか好きじゃないし。まあジュニョンは貢いでるつもりないだろうけど。
欲しいものは自分で手に入れたいとゆう気持ちがあるのだった。
ジュニョンは"そう"と呟くとコーヒーの入ったカップを手にとって飲んだ。
『これも可愛い!あー』
「………」
『えっ高い…これも高い……』
「………」
『こうゆうの欲しいなー』
わたしは雑誌をめくり続けながら呟いていた。
きっと彼には迷惑だろう。
だがわたしの口から言葉は止まらない。
『これいいなーこれ』
「やっぱり買おうか?」
『あ…ごめんごめんうるさいよね』
「俺に買ってもらうの嫌?」
『いや別にー』
「俺、お前に物買ってあげたことない」
『そうかな?』
「そうだよ」
『あぁ、でも大丈夫!恨んでないから』
わたしは手をピラピラさせておばさんのようなジェスチャーを繰り返していた。
ジュニョンは無表情でそのピラピラジェスチャーをみた後再び、"そう"と呟いた。
『………』
「………」
しばらく沈黙が続く。
わたしは雑誌を夢中になって読んでいた。
沈黙を破ったのはジュニョンだった。
「やっぱり買おうか?」
『えっ……?』
ジュニョンは沈黙の間、そのことを考えてくれていたらしい。
なんて優しい人なんだろう。
わたしは驚いてしまった。
『大丈夫だって』
「買おうかっていうか買ってやりたい……んだけど」
彼のその少し言うのをためらっていた姿が胸の鼓動をはやくした。
『……うん』
「どれ?」
『これとこれとこれとこれ!』
ジュニョンがわたしにするすると近づいてきた。
ジュニョンは口を半分開けたまま雑誌をみつめている。
end.
(こんないるか?)
(うん!)
(俺、全部同じものにみえる)