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□高いヒール
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『足、痛い……』


「もも、そんなたっかい靴履くからでしょ」


『だって…』


「おんぶ?だっこ?」











ギグァンは街の外れで呟く。
せっかくのデートがわたしのおNEWのヒールのせいで台なしだ。
ギグァンに迷惑掛けているわたしが情けない。












『大丈夫。重いから』


「そんな女一人ぐらい大丈夫だよ」


『いい』











絶対これ以上ギグァンには迷惑掛けたくない。
ギグァンは苦笑いする。
足痛い。こんな高いヒール履くのは久しぶりだなあ。












「ちゃんと歩けてないけど…大丈夫?」


『大丈夫だって』


「ほんとに…?」











ギグァンと久しぶりのデートで、可愛くみせたかったけど
わたしには似合わないってことね。
はいはい、わかってますよ。



わたしはゆっくりゆっくり歩きながら考えていた。







「ももなんで無理してその靴履いてきたの?」







ギグァンはゆっくりとわたしの歩くペースに合わせながら呟く。
わかってるくせに。


わたしは口を尖らせてギグァンを睨んだ。
ギグァンは苦笑いをして





「あ〜わかったわかった!」










なんて言う。
からかってんのか。
わたしはこくりと頷いた。








『でも似合わないから意味ないんだ』


「うん」


『…似合うよとか言いなさいよ』


「あ、ごめん」


『スニーカーにすればよかった』


「…それ、似合うよ」









ギグァンは優しく微笑むとわたしの頭をくしゃっと撫でた。
その笑顔にわたしは惹かれたんだと再認識していた。






『ギグだーいすき』






わたしはギグァンに抱き着いた。今はただギグァン傍にいたい。
ギグァンの匂い。
ヒールを履いているわたしはいつもより大きいから
また違う感じがする。






「……うん」

『ギグァンは?』

「凄く好き。大好きだよ」






ギグァンはわたしの肩を強く抱いた。




たまにはヒール履いて足痛くなっても、
いいかもしれない。







end.


(足痛い…)
(おんぶ?)
(やだ…)

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