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□下心なしでは
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『わたしは下心があります』








ももの口からサラっと出てきた言葉。
その目の前にいる僕は口をぽっかりと開けた。








「もも…?」




『…わたしドンウンをもう下心なしではみれないです』






ももどうにかなっちゃったのかな。
顔を真っ赤に赤らめて僕をみつめている。僕は理性が保てなくなりそうになった。



「う…うん?」




二人の間に沈黙が続く。
どうしてこうなったかと言うと。

今日は二人で映画を見に行った。その映画がどうもももに悪い影響を及ぼしたらしい。
映画をみてる最中もチラチラこっちを見てきてばかり。




『はぁ…はぁ…………』




隣で歩いているとももがため息を連発している。
そんな悪い映画だったかな。




「もも?さっきからどうしたの?」









『いや……』




ももは絶対に僕と目を合わせようとしない。
なにか隠してんのか?





「映画、嫌だった?」




『違う違う!ああゆう映画みたらほんとに……、はぁ』







映画のことか。
ラブストーリーが嫌だったのかな。またため息ついちゃうし。







「ほんとに?」





『ほんとにドンウンと付き合ってるんだなって……思った』







ももは言ってしまったという顔をしている。
なぜこんなにも僕の心を掴むのだろうか。






「…そっか」



『手繋いだりとか、
ハグしたりしたら正気じゃなくなるな……と(笑)』





ももは優しく笑う。
僕は既に今正気じゃないのに。
僕はももの腕を引っ張り抱きしめた。


ふわんとももの優しい香りがする。柔らかい触感。




『ドンウン…!わたしは下心なしではドンウンをみれな』



「うん」









『もう死んでしまう……』


ももは僕の腕の中で小さく呟いた。




end.


(下心なしではドンウンをみれない…)
(はいはい(笑))

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