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□シャイ
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わたしの彼氏はヒョンスンです。
でもヒョンスンは
なんだか不思議な人。
この間も、一緒にお昼ご飯を食べに行ったとき。
わたしを置いてすたすた歩いて行ってしまう。
あとはいつもわたしが一方的に話してること。
ヒョンスンは「ふーん」か「へー」しか言わない。
でもわたしはめげなかった。
いつも真夜中の電車の中でヒョンスンに会う。いつもヒョンスンが先に乗っている。
今日もヒョンスンはあの車両のあのドアの端にいた。
黒いパーカーのフードを
深くかぶって、音楽を聴いていた。
電車のドアが開いた。
車両はいつも人がほとんどいない。
ドキドキしながらわたしは電車に乗り込んだ。
ヒョンスンはわたしに気付かない。
「わっ!」
わたしはヒョンスンの顔を覗き込んだ。
満面の笑みでヒョンスンを見つめた。
バッチリ磁石のように目が合う。
ヒョンスンは
わたしに気付いて、
イヤホンを耳からとった。
その仕草がすごくかっこよかった。
「こんばんは!」
わたしはニコニコして言った。
「こんばんは」
笑わないヒョンスン。