テニスの王子様
□こっちを見て
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お願い、ウチを見て。こっちを見て
なんて願ってもあの人は絶対にウチを見ない。あの人には、ウチよりも大切な人がおるから…
少しでも会いたくて、側にいたくて、 ウチの最近の日課は昼休みにユウジ先輩の教室に行くこと…
「小春〜!!今日も好きやで!!」
「あらユウくん!ウチも好きやで」
このやり取りはいつもやってること、せやから大丈夫って思ってた…思ってたけど…
「小春は世界一やで!」
「小春はホンマかわええな!」
「小春〜!!好きや!!大っっっつ好きや!!!」
あの人…ユウジ先輩の口から出る言葉はウチには絶対言うてくれへん
ウチら…付き合ってるんとちゃうん?ウチ…ユウジ先輩の彼女やろ?
ユウジ先輩が小春先輩を好きなんは有名やから知ってた。知ってたけど、ウチはユウジ先輩が好きやから玉砕覚悟で告白したんや。そしたら付き合うてもええでって言ってくれて、ホンマ嬉しかった
ユウジ先輩は好きでもない人と付き合わん、と思う。せやからウチのことは好きや、と思う
けど……
「小春ー!!男テニも女テニも部活あらへん!!一緒に帰ろうやー!!!」
「ん〜アカンのよ、今日は生徒会があんねん」
「えぇ…ほな、小春のこと待ってる!」
ウチがユウジ先輩と帰りたい思っても帰れん。ユウジ先輩は小春先輩と一緒に帰るから
「……ユウくん、どれくらいかかるか分からんのよ。せやから、光ちゃんと帰ったらどう?」
こっちを見ながら小春先輩はそう言った。ウチとユウジ先輩が付き合うとるって知ってるから、だから気を回してくれとるんやと思う
「……なんでこいつと…オレは小春と…」
「ユウくんの彼女は光ちゃんやろ?いつ終わるか分からんのやし、ね?」
「でも…」
「あ、あの…ええです。今日は、謙也さんと帰る約束しとるし…」
なんて、嘘やけど
心底ウチと帰りたない、そんな顔しとるユウジ先輩のこと見たないもん
と、おもったらユウジ先輩はごっつ怖い目でウチのこと睨んどった。 こんなユウジ先輩、初めてや…
「ほぉ…謙也とな…まあ、ええわ。お前はよ教室戻れや」
「っ…はい……」
ウチ、ホンマにユウジ先輩の彼女なんやろか…
覚悟はしとったけど、相変わらず小春先輩にべったりやし…彼女らしいことしてもろてない。一緒に帰ったことないし、手を繋いだことも抱きしめてもろたことも…キスされたこともない
よお考えたら小春先輩は頭ええし、面白い。かわええし、ウチみたいなガリガリで貧相な身体と違うてスタイルええし(着痩せしとるだけで確かFカップだったような…)
うん、ウチが小春先輩にかなうとこなんて一つもあらへん。やからユウジ先輩は小春先輩が好きなんやろな
あれ…?せやったら、何でユウジ先輩はウチと付き合うとるん?