数多の恋
□面白いのが恋
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弓兵×衛宮です!
まだ、衛宮がアーチャーの霊名を知らない頃のお話
とにかく、アーチャーがもう意地悪です、多分!
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「お前、凛のサーバントじゃないのかよ」
「俺は本来は凛のサーバントだ。
今、貴様についてきているのは、それが凛の命令だからだ」
帰るとき、一人では危険だと、凛がアーチャーを護衛につけた。
セイバーは今、傷のため養療中だ。
「何で、俺を見つめてんだよ」
さっきから、ジロジロと見られて鬱陶しい。
そんなに見つめられたら、なんか恥ずかしいだろっ!
「貴様にはごくごく普通の何もない人間でしかない…………が、何故か惹き付けられる」
「悪かったな、何もない人間で!
てか、惹き付けてもねーしっ!!!」
俺は歩く足を早め、急ぎ足になった。
こんなわけのわからないヤツとはいたくなかった。
しかし、英霊であるアーチャーはそんな俺の後を息も切らさずついてくる。
すると、不意に腕を掴まれた。
「何するんだよ!放せっ!!」
「轢かれても良いなら放すが?」
すると、暗闇から、車が横切っていった。
あのまま進んでいたら、轢かれていただろう。
「すまない、助かった…………」
「……………………」
「?」
アーチャーが、無言で俺を見つめている。
俺、礼を言っただけだよな?
なんか、変なこと言ったか??
「アー…………っん!」
アーチャーと言おうとした瞬間、口を塞がれた。
すると、ぬめっとした何かが口内を犯す。
舌を絡められ、歯をなぞるように、それはしばらく犯していた。
犯していたものが離れたとき、犯していたものはアーチャーの舌だと知り、キスをされたのだと理解した。
「……お前!」
「助けてやった礼だ」
「…………っ、ふざけるな!!!」
そうやって俺は、アーチャーの手を振り払って駆け出した。
初めてのキスだった。
それ故に、何故、こんなにもドキドキしているのかわからなかった。
後を振り向いても、アーチャーが追いかけてくる気配はない。
そして、此処は、俺の家の前だった。
「…………っ、なんだったんだよ」
意味がわからない。
ただ、まだ、心臓が早鐘を打っているのは確かだ。
俺はそのまま、家へと入り、眠りにつく。
どうか、夢であってくれと、願いながら、止まらぬ早鐘を抑えていた。
END