FF零式 捧げ物・頂き物

□雨の日には…
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「な、なんでないのよ!!」


その日、天気予報では晴天になるはずだった。


だからだろうか、いつも持ち歩いている折り畳み傘すらも重いと感じ、家に置いてきてしまったのだ。


で、校舎の入り口で傘を忘れたことに気付いた。


ケイトは「今日スイパラ行く」って言ってたからもう帰ってるだろうし、デュースたちは部活だろうし、サイスは告白だって言ってたし、男子…今さっきトレイ達は帰ってるのを見たし、エースやマキナは優等生(片方違うけど)だからもういないはず。レムは「病院に行く」って言ってたしな〜。後は……ヤンキーのナインか。


う〜ん、あいつの傘の中に入れてもらうの嫌だな〜。だってあいつの傘って絶対壊れてそうだしww


でもこの雨の中、帰ることは出来るだろう。しかし帰ることの対価として支払わなければならないのは『下着のスケスケ』である。それだけは免れなければならない。


どうしたもんかと考えていると、いきなり目の前に傘があらわれた。


「えっ?」


「ほら、傘ないんだろ?だったらさっさと入れよ」


見上げるとそこにはヤンキーのナインがいた。(しかも顔が少し赤い)


はっきり言って、彼の傘に入るとかめっちゃ怖い。


だが入らないと言うと彼はそのまま帰ってしまうだろう。


それはそれでマズイ。彼も私の返答を待っているみたいだし、ここは入れてもらうという案で行こう!


「すみませんが、入れてください」


そう私が言った途端、彼は照れたように顔をそらしたが、私の目には犬の尻尾のようなもの動いているように見える。






キュン!





あっ、なんか今、凄い可愛いとか思っちゃった。


「ほ、ほら、さっさと入れよ」


「ありがとう、私は君のことを勘違いしていたみたいだね」


「あ?どういう意味だ、ゴラァ!」


「バカにしているとかそういうのじゃなくて、ただ単に怖いって言う理由だけで君を避けていたから、本当にごめんね」


「やっぱり、そんなもんだよな」


「えっ?」


「いや、何でもない」


「何か相談があるならなんでも言って、傘入れてくれたお礼もしたいし」


「…。誰にも言うなよ」


「うん?」


「実は俺、好きな女子がいるんだ」


「は?」


「だから好きなやつがいるんだけど、そいつにどう告白していいか分からないんだよ、コラァ!」


「誰か聞きたいとこだけど、そうだな〜、告白か〜。例えばだけど、今みたいな状況で告白したらOKだと思うよ。あとはお決まりのパターンだけど、放課後の呼びだしとか」


「そういうもんなのか?」


「多分?」


「なんで疑問形なんだよ」


「いや、ほら、私彼氏とか出来たことないからね〜。分からないんだよ」


「彼氏出来たことないのか?」


「うん、そうだよ。そんなに意外かな?」


「あぁ」


「ほらうちの学校って可愛い子たくさんいるじゃん?だから男子もそっちに目が行っちゃうんだと思うよ」


そう言った瞬間に泣けてきた。やっぱ私はモテナイ発言はきついものがあるな〜。


「俺はそうは思わないけどな」


「えっ?何か言った?」


「な、何にも言ってねぇーぞ!!」


「そう?ならいいけど、じゃ私の家ここだから送ってくれてありがとう!また明日学校で!」


そう言って、私は帰宅した。


その雨の日から1週間後に、ナインから告白されることも知らずに…。




END
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