黒の預言書

□蒼い眼の海賊と海の魔女
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不思議な夢をみた
蒼い服をきた、金色の髪を持つ少女
そして、少女は私にこう言った
私の歌を聴いて?


「……ら…お…しら…おかしら…お頭!」

「ハッ!」

「お頭!大変だ!酷いセイレンの嵐だ」

「なんだって?!早く持ち場に着け!」

「へいっ!って、お頭。大丈夫ですかい?酷く顔色が……」

「五月蝿い。グズグズするな、行くぞ」

「へいっ!」



「帆を立てろ!早くするだ!」

「「へいっ!」」

「野郎ども、チャッチャッと動g…」

「お頭!」

激しい波がレティーシアを襲い、そのまま呑み込んでいった

「お頭!お頭!」


だんだんと遠くなるあたしを呼ぶ声
そういえば、あたしはセイレンの波に呑まれたんだっけ

ははは
これじゃあ海の美女と謳われたレティーシア様の名が泣くねぇ

しかし…
死ぬというのに苦しくない
気持ちも穏やかだ


「楽しければ笑い、悲しければ泣けばいいでしょー」

これは…
セイレンの歌か?

「今の私にはそれさえ許されぬ。歌うことしかできぬ悍ましい化け物へと変わってしまった」

歌と同時に頭に過る人物たち
それは《海賊時代》の前
ロマン時代の風習や身なりだった。

楽しげに歌う赤と蒼の少女
蒼の少女はどこかセイレンの歌声に聞こえた

そうか
セイレンも、もとは人の子か
ならば…しっかりと私が供養してやろう

なぁセイレン
だから私にもう少し
生きさせてはくれないか?

ここで私の意識は消えた

―――――

眼が覚めたとき私の目の前にいたのは

「「お頭!」」

むさ苦しい野郎どもだった

「お頭!無事で良かった」

「うるせぇよ…静かにしろ……馬鹿ども」

「レティーシアさん」

「おう、アリエスか…なぁに、大丈夫さ」

「ならいいんですが…一回、近くの島に降りて…「ああ、そうだな」」

「えっ…」

「海の魔女との約束を守らないといけなくなったからな」

レティーシアは静かに微笑む
その後、近くの島に上陸し、嵐の如く海に戻った

「お頭、どうしちゃったんですかい?花なんか戻って出航するなんて」

「セイレンに呑み込まれてからですよ、やっぱり、ちゃんと医者に見てもらわねぇと…」

「ホントにうるさい馬鹿どもだね。アタシはどこもおかしくないし、これは私の単なるエゴさ」

そういうとレティーシアは赤い花束を海へ投げた

「お前が一緒に歌っていた少女の色だ。セイレン…しっかりと約束は守ったぞ。だから静かに眠れ…清廉の如くな…」

海は理解したかのように
波が赤い花束を呑み込んだ
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