09/27の日記

00:35
発散文
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君色ワルツのその後。
デフォルト名:緒方 遥 を使用しております。
時間軸は遥ちゃんと輝二君が大学2年生頃。
違う学校に通いながらも同棲しています。
※ほんのり事後描写あり。



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熱を求めてもぞもぞと動く。
しかし、いつもはあるはずの熱が無くて目を開けた。
太陽の光が差し込む部屋には、私1人だけで。
あれ、と思って体を起こし辺りを見回すと、鼻腔を良い匂いが抜けた。


「遥。」
「こうじ…、」


まだ思い目蓋を擦り、部屋に入ってきた輝二に目を向ける。
彼は黒いスラックスに同じく黒いTシャツを着て、近づいてきた。
ベッドの淵に座って私の寝癖だらけの髪をそっと撫でる。
それからベッドの端っこに追いやられている白いシャツを手繰り寄せて、私の肩に掛けた。


「朝飯、できてるぞ。」
「…ありがと。」


ほんのり熱の集まる頬を隠すように少し俯いて、掛けられたシャツに腕を通した。
なんとなくだるい腰を庇うようにベッドから降りれば、先にベッドから降りて立ち上がっていた輝二が手を差し出す。
私たちは互いの指を絡めたまま、リビングへと向かった。
テーブルに並んでいる料理は、昔の輝二からは考えられないほどに上達したもので。
向かい合って椅子に座り、小さく「いただきます。」と言って湯気の立つコーヒーを口にした。


「今日はどうする?」
「えっと……観たいDVDがあるんだけど、」
「じゃあ借りに行くか。買い物は?」
「卵安いから、買いに行く。」
「そうか。ああ、そう言えば牛乳切れてたぞ。」
「ん。」


サク、とトーストを咀嚼して輝二の言葉に返事をする。
チラリ、と時計を見れば8時を少し回っていた。
2人で朝食を取り終え、片づけもそこそこに2人用のソファに座ってテレビを見る。
バイトも学校も無い休日は、時間の流れが緩やかなものである。


「そろそろ行くか。」
「そうね。」


身支度を整えて一緒に玄関を出る。
マンションのエントランスを抜けて少し歩けば、いつの間にか手が繋がれていた。
最寄りのレンタルショップに手を繋いだまま入り、映画のコーナーに行く。
これとあれと、と手に取れば、輝二も興味があるのかケースの裏側を見ている私の手元を覗き込んでくる。


「こいつ見たことあるな。」
「最近やってる映画にも出てるからじゃない?」


朝見た情報番組にも、ちらっと出ていたし。これも借りようと手に取って、私はもう良いという意を込めて輝二を見上げた。
すると彼は私の言いたいことが分かったのか、手を引いて別のコーナーに移動する。


「何借りるの?」
「俺も映画。」


洋画コーナーから今度は邦画コーナーへ。
輝二も数本DVDを持ってそのままレジへ向かった。
店員のだるそうな「ありがとうございましたー。」という声を聞いて、今度は近くのスーパーへ。
籠を持とうとすれば、横からその籠を取り上げられる。


「…。」
「行くぞ。」
「ふぁ!?」


じっと睨み付けていれば、輝二は小さく笑って私の鼻を軽くつまむ。
変な声が出た、と耳に籠る熱を感じながら鼻を撫でた。
卵と牛乳、それから必要な野菜とお肉を籠に入れる。
それから、少しだけ買っている冷凍食品を見ていると、視界の端に入るそれ。


「…。」


こっそりとアイスを1つ取り、輝二が品物を選んでいるのに気を取られている好きに籠に入れた。


「おい。」


しかしすぐさま気づかれて作戦は失敗。
私は目を逸らしながら、もう1つ同じアイスを入れた。


「お前な…。」
「今日の夜、一緒に食べましょ?」


ニッコリと笑えば、輝二は溜息を吐いて呆れたように笑って見せた。


「さ、帰るか。」
「ええ。」


レジを終えた商品が入ったビニール袋を輝二が、DVDの入った袋を私が持つ。
互いに手を握りなおして、私たちは家へと向かった。




特別なことは何もないけれど。


(「DVD、何から見る?」)
(「じゃんけんで決めるか。」)







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