★リミの部屋★

□暴れん坊上様!
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「余は喉が渇いて死にそうだ……誰か、誰か水を持ってまいれ!急ぐのだ!」

「は、はい陛下っ!」
「「「………。」」」

眞魔国の王都、血盟城は日々是平穏だった。

そして、今日は国王であるユーリが眞魔国へ戻って来る祝うべき日だった。…しかし、王都の血盟城では、先程から超深刻な問題が大発生している。
「何を固くなっておる?魔族三兄弟よ、近う寄れ」
「「「結構です」」」
黒い髪に黒い瞳。『双黒』と呼ばれ、讃えられる魔王陛下らしき人物は、黄金と銀でまとめられた魔王専用席にでんと腰掛け、不吉にも黒い扇子を右手に、開いた左手をひらひらさせながら言う。
その王らしき人物に声を掛けられた噂の三兄弟は、三人とも王から目を逸らし、偶然にも声を揃えた。その反応に対し、王は…
「何っ!?おぬしらまさか余への忠誠を裏切ろうとしておるのか!?なんという……」
「「「では遠慮なく!」」」
また合ってしまった。表情も一緒。
「ふむ、よろしい」
魔王らしき人物はその言葉を聞いて安心したのか、ご機嫌モードになる。

…血盟城は、ただならぬプレッシャーに襲われていた。

それは地球生まれながら眞魔国国主であるユーリが帰って来た時に始まる。

彼はいつもの如く水を伝い、ずぶ濡れでこちらに現れたのだが、物凄い血相で柄にもなくイラついていた。護衛であり名付け親であり、更には保護者であるコンラッドが理由を聞くと、どうやらここ最近カルシウム不足で、大賢者様オススメのカルシウム風呂(牛乳風呂)にやっとありけると思った所、こちらに喚ばれて戻って来てしまったらしい。
彼はそれを逃し、より一層酷くイラついてしまっていた。

…そして事件は起こった。

教育係の授業中に、毎度お馴染みのフォンクライスト卿の長い演説に飽きてしまったユーリは、それぞれの趣味に没頭していた(長男編み物、三男お絵描き、次男……?)三兄弟が駆け付けた頃には……倒れる王佐を見下ろした立派な若殿風スーパー魔王モードの上様ユーリになってしまっていた。

偉大なる魔王相手に悪戦苦闘しながら、一時的にショック療法(次男の剣の鞘で腹チョップ)で戻したものの、カルシウム不足の脅威は半端なく、気付くとさっきから上様のままだ。瞳は爛々と輝き、ただならぬ緊張感を放っている。少しでも逆らうと『成敗!』と枯れ果てた王佐のようにノックダウンなので、魔族三兄弟は仕方なく黙って従っていた。
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