★リミの部屋★

□今日だけコのつく氷の魔術師*
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今日のウェラー卿コンラートは、絶対的に何かがおかしい。

いつも通りの血盟城の朝。いつもと変わらず寝室に現れる名付け親のコンラッド。だが、これからとんでもない事件が起こってしまうことになる。
「おはようございます、ユーリ」
「…朝か…おはよ、名付け親……ってあれ、なにそのカエル」
よく見るとコンラッドは肩にカエルを乗せている。心なしか嫌な予感がするのは気にしないでおこう。
「ああ、これですか?これは……」
すかさず肩からカエルをとり、ひっくり返してからおれに見せてこう言った。

「カエルが、ひっくりカエル」

いや、ひっくり返したのはコンラッドだろ?……ってちっがーうっ!今ダジャレ言ったか!?
「こココココンラッド!?こんな朝から突然何言いだすんだ!?さ、寒い!凍えるからやめろッ!」
室内は一気にマイナス0゜の世界に。さすがは『裏・今日からコのつく氷の魔術師』だ。…魔力ないはずなのに。
すると隣で、『黙っておれにしがみついてた』ヴォルフラムがあまりの寒さに目を覚ました。
「…っ、なんだこの冷え込みは…っ!?」
「おはようヴォルフ。起きたか?」
扉に目をやると、極寒ともとれる部屋の中、爽やか笑顔でカエルを掲げる次兄の姿が。
「………」
「おれを睨むな、おれを。今のは予測不能の不意打ちだったんだぞ?不幸中の不幸!」
「不意打ちだと?…何故朝からそんな真似を」
疑問を抱き続けるおれ達に、コンラッドが歩み寄って来た。どうでもいいがカエルを肩に乗せるな。
「二人共中々起きてくれないから仕方なく…今日は陛下にもヴォルフにもたっぷり働いてもらわないと。皆朝から忙しいんですよ」
「「………」」
仕方がないと寒いダジャレをお見舞いなのか。なんと不憫な目覚めだろう。バッドモーニングコール反対ーっ!もう二度と、最終魔術(ダジャレ)は使用させてやるもんか。
ユーリとヴォルフラムは心に誓うのだった。
「よしコンラッド、走りに行くぞ!なんせ朝から寒いギャグお見舞いさせられたんだからな!」
「これしか思いつかなくて。でも嬉しそうでなによりです」
いや、嬉しくねえから。
そう悪びれもせずに微笑むコンラッド。ユーリはすばやくジャージに着替えた。今の季節は春だが、朝はまだ多少なり冷え込む。最も冷え込むのは別の寒さもあるからだ。
「また走りに行くのか?…ぼくも行こう!寒過ぎて敵わないっ」
「お前も?お前居るとなにかとう……いや、風邪引いたんじゃねぇの?いいから部屋で暖まってろ」
そう言ってからメイドさんに紅茶を頼む。するとどうしたもんか、
「そう、か……わかった」
妙に納得したヴォルフは再度ベッドに潜り込んだ。…やけに素直。きっとコンラッドの魔術にやられたんだ。まあおれもだけどね。
「よーし行くぞコンラッド!」
おれは気を取り直して片手を上げ、扉に手を掛ける。するとコンラッドが笑顔で言葉を返してくれた。
「……吉幾造が、よし行くぞー」
コンラッド吉幾造も知ってんのかよ。…あれ。もしかしなくともまたダジャレ!?
「コ…へぇっくしょい!コンラッド!?一体どうしちゃったんだアンタ…ぶえくしっ!……って待て、おれのくしゃみはカトちゃんかよ!?」
ああもう、脳みそまでフリーズ状態だ。
「何と何を掛けたかは知らんが、いい加減にしろぉーっ!」
怒鳴りながらヴォルフラムが起き上がる。
しかし、スイッチが入ったコンラッドは誰にも止められない。室内は吹雪が吹いてるような錯覚に襲われ、扉前にいた兵士の顔が固まっている。助けてー誰か暖かいものをお持ちの方ーっ!
「はは、そんなものはナイル川」
「ぐはっ!?」
何故心を読んだ!?
それにしてもまたも地球語を交えたダジャレ。美少年には意味が伝わらないはずだが、彼はついにキレた。
「……グウェンダル兄上ぇーっ!(怒)この駄洒落狂をどうにかしてくださいッ!」
耐え切れず舌打ちと共にグウェンダルを呼びに行こうと扉に手を掛けた。すると…

「大変なのですーっ!」

どかん!

ヴォルフラムは扉を開けた瞬間、全速力でやって来たギュンターと正面衝突した。てゆーか、どかんて効果音超微妙。
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