☆空の部屋☆
□春抱きSS集
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〜I promise.誓います〜
結婚式のあと、俺たちはホテルへと帰った。まぁ、予期していた通り、香藤は『初夜』などとぬかして俺を抱いた。愛しいと思う気持ちは、俺にだって…
「俺も…お前を抱きたい、だめか?」
気付いたら、そう言っていた。
「岩城さん…ダメなわけないじゃん」
絶頂に達したばかりなはずなのに互いの自身は萎えることを知らない。
想定外の事に一瞬惚けたが、前髪を掻き上げて見つめてくる香藤は、俺のためらいに気付いたのか苦笑した。
「やっと、俺を受け入れてくれる気になったんでしょ?岩城さんが俺を抱きたいなんて…夢じゃないよね」
「ばか。挿れる方になるのは久しぶりだから出来るか不安になっただけだ。それに…」
とっくに入り込んで来てたよ、お前は。俺の、心の奥深くまで。
「・・・岩城さん?」
途中でことばを止めた俺を不思議そうにまた見つめてくる。
いつのまにか、こいつのこの熱い視線にやられていたんだろうな。だが、調子にのってしまわないよう、優しい言葉はかけてやらない。
「それに、俺は妻になる気はないからな。あくまで夫だ」
「ははっ!結構まんざらでもないんじゃないですか?妻でも………んぅっ!」
余計な事をしゃべりだした口を半ば無理矢理閉じさせる。だがそれも、すぐに求め合うキスへと変わっていき、激しく貪る。
「岩城…さんって、…主導権握ると…すごいよね」
「ばーか、いいからもう黙ってろ」
お前のそのペースに乗せられる前に、心を込めて優しくお前を抱くんだ。
今までこいつが俺に与えた精神的快感を、今度は俺が味わわせてやるから。
「岩城さん岩城さん、あんま真剣な顔されると恥ずかしいよ」
「何赤くなってんだ。いまさら」
「あ〜やっぱだめ。無理。」
「は?………っ!おいっ!」
なぜか再び組み敷かれる俺。これは…
「やっぱもう一回抱かせて!岩城さんっ」
やっぱり。
盛大なため息をついたあとに負けじと言ってやる。
「たまにはおとなしく抱かれたらどうだ。俺だってお前が可愛くてしょうがないんだ」
「おとなしくなんかできないよ!岩城さんの躰が悪いんだからね」
もはや何を言っているのかわからない。こうなると俺が折れるしかないのか…
「香藤、俺の愛を全身で感じてみたいと思わないのか?」
「ぅ…」
そういうと一瞬たじろぐ。これはいけるかも知れない。
「こんな事を言うのは結婚式のあとだから、俺も普段より興奮しているんだろうな。という事はだ、もうこんな機会はやってこないかも知れない。本日限定だ。どうだ」
「・・・限定」
この時、香藤の頭のなかでは『限定岩城さん』ということばでいっぱいになっていた。
「いいね、それ。うん、いいね!」
ひとりで激しく頭を上下している。このバカっぽいところが正直可愛くてしかたがない。