★リミの部屋★
□失くした言葉
1ページ/4ページ
『自分の使命を忘れるな』
彼は強く言い放った。おれはすぐさま反論する。
『そんなの果たさなくていい』
しかし彼は哀しげにおれの顔を覗き、言葉を選んだ。
『お前は魔王だ』
だったらなんだ。
…それがなんだって言うんだよ?
大事なモノを失くすのなら、
守れる力がないのなら、
…こんな職業今すぐやめてやる。
『ユーリ、それは違う』
何処が?
…合ってるじゃないか。
やめるからこっちに戻ってきてくれよ。
おれの側にいて…それだけでいいから。
あんなに近くにいたのに……なあ、なんでお前はそんな遠くにいるんだ…?
でも、
どんなに辛くとも、最後は歩くしかないんだ。
優しかった『時間』は、もう二度と戻らないから…。
いつかこの苦しみも、なにもなかったかのように風化するのだろうか。
そうなってしまうのなら、忘れないように…
この先死んでも、この想いだけは絶対に失くさないように…
……おれは、心に深く傷をつけるよ。