夢で逢いましょう

□第一章 再会は唐突に
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半年前――。

「ごほっ、ごほっ」
俺は咳込んだ。地面にはたくさんの血溜まりができ、男が三人倒れている。そして目の前には今しがた自分が吐いたばかりの血と唾液が入り混じった汚物。
「はあっ、はあっ…。くそっ!」
さすがに三日間の監禁と暴力は堪えた。
施錠されている机の引き出しの鍵を男たちのポケットから探す。そして中にある自分の私物を取り出した。ピッ
携帯で、ある女に状況を伝えた。
「報酬は?何くれるの、奏くん」
「あんたの今回の敵を消してやる」
「OK。すぐ向かう」
電話が切れた。


数分後に扉が開いた。
「あら、奏くんらしくない。そんなボロボロな姿あのとき以来じゃない?」
少し楽しそうにこちらを見る女性は涼月暁(すずつきあきら)という。短めのタイトなスカートにタイツをはき長く形の良い脚を惜し気もなく晒している。顔立ちもそれなりに整い、つやのある黒髪は肩に垂れている。
「あなたの傷付いた姿って嫌味なくらいそそるわよねぇ」
「黙れ」
俺は疲労でぼうっとしたまま暁を睨む。
「それ、逆効果だって気付いてる?」
苦笑しながら何かを言われた気がしたがよくわからない。俺はそのまま意識を手放した―。
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