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□あのね、本当はね。
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*佐久間視点
*女体化ということで、佐久間の一人称は「私」で。
意味わかんない。
源田のヤツ…。私という彼女がありながら、何他の女の呼び出しにホイホイいってんの!?
どーせまた、告白されてんでしょ!?
私よりも顔、可愛くない奴にさ。
まぁ、性格は私より数倍可愛いんだろうけど…。
「あーもぅ!また源田くんにフラれたぁ!」
どこかから、そんな声が聞こえた。
フラれただろうね。だって私が付き合ってんだもん。
「源田くんって彼女いたっけ?」
「あれだよ。あれ。佐久間さん。銀髪で眼帯の。」
「あー。あのカワイイ子かぁ。」
「まぁ、顔は可愛いけど、性格ブスじゃん。」
は?自分がフラれたからって人の悪口?ふざけないでよ。
話してる主は3人。1人で叩き潰せる量だけど、もうちょい様子を見よう。
「優しい源田くんとは釣り合わないね。」
頭に血がのぼった。
ヤバい殴りそうとか思ったけど、もう遅かった。
すでに1人殴っていたから。
「さっきから…黙って聞いてれば、好き勝手言ってさぁ。あんたこそ性格ブスじゃん!」
バシンッ!
思いっきりグーで殴ってしまった。顔はかわいそうだと思ったからお腹を。
そいつはドタンッと、音を立てて膝をついた。
「…釣り合わないって−…。気にしてることを…絶対…許せない!」
今まで以上に力強く右手を振り上げる。
「−…!!」
パシ…
誰かに腕を掴まれた。
「誰…?」
源田だった。
「離して…離してっ…!!」
思いっきり振り放そうとしても離れない。
「離せと言うのが分かんないの!?」
ダメだ。相手が悪すぎる。絶対振り放せない。
「でも…でも…納得いかない!離してっ…離してよぉ−…!!」
「佐久間。」
冷静に名前を呼ばれた。
いつも穏和で優しい源田からは考えられないくらい冷たくてビクッとした。
「な、何…?」
「殴っちゃダメだよ。ね?」
私を宥めようと、優しい口調で言ってくる。
「でも、でも…コイツ…私は源田に釣り合わないって…ムカつく!」
「所詮は他人の戯言だよ。気にしない方がいい。」
でも…でも…でも…!!!
「…ホントは…ムカつくとかじゃなくて…悔しくて……っく…うぅ…」
ヤバい涙腺歪んできた。
「あの、本当は私は源田のこと、好きなのに…釣り合ってない気がして、あの不安で…嫌われるのが怖くて。そういうのを、意識するのすら怖くて…」
なんか恥ずかしくなってきた。
「だから、あの、私は…外から見るよりあんたが好きなの!」
顔がそのまま近づけられて…
唇が触れる…
「んっ…ん…ふぁ…」
長い長いって…。
酸素が…
相手の体温が感じなくなって、呼吸を整える。
「はぁ、はぁ。」
「ゴメン、佐久間あの、」
なにか言いたげに源田が私に謝罪する。
「続きは家にしてくれる?ここじゃ嫌。」
「え、いいの!?」
「明日、学校あるから、痛くしないでよね。」
ずっと、あんたといれば不安とか考えてる暇ないよね。
きっと、ずっと−…。
あのね、本当はね。