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□例えば樹海を泳ぐ魚のように
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*雅野視点


愛は地球を救う?
そんなのは戯言だ。
愛なんてそれに関わった当事者さえ救えない無能なものだ。
そんな形ないもので地球が救えたら苦労しない。

辛い恋ならしたくなかった…


龍崎達が帝国からいなくなって1ヶ月。
あれから、一度もあってない。監督も雷門に行っちゃって、残ったメンバーも葬式ムード全開だ。

つまらない。

今俺は、何を求めているんだろう。


「会いたいな…」
公園で1人呟いてみた。
蚊の鳴くような小さな声が静かに空に消える…


寒いから電話して親に迎えに来てもらおう。
思ったと同時に携帯がなる。


ハッ、っとして急いで受信フォルダをひらく。

「なんだよ。チェーンメールかよ。」

がっかりした。
少し、ほんの少しだけ期待してた。
龍崎かも、って。

「会いたいな…」

我ながら女々しくなってきた。
「あーもーやめやめ!」

考えると余計に会いたくなってくる。

こっちから電話してやろうか、とも思ったけど、それはそれで負けな気がしたからやめた。


「会いたい。」

願い事を三回唱えたら叶うとかいう話あったっけなー。
何だっけ。
そんなこと、 あるわけないのに。


「誰に?」
急に声をかけられて焦った。

「誰に、誰に会いたいんだ?」

「なっ…龍崎…何でいるんだよ…」

「会いに来た。そろそろ俺不足かと思って。」
なんでコイツって久しぶりでもこんな下らないことしか言えないんだよ。


「遅い。遅すぎ。これからは3日に1回ペースで来い。ばーか。」


俺は何を求めているのか…
それは…




例えば樹海を泳ぐ魚のように
 

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