runawayブック

□第一部
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ない


ないないない


ない!!



いつも置いてあるはずの・・・

本棚にあるはずなのに・・・!


『・・・お母さん、私のonepieceは・・・?』

部屋の本棚に並べてある、onepiece全巻がキレイになくなくなっていた。


「あぁ、あれ。ゴミに出しちゃったわよ」



『はぁ!?何してんの!?』

「あなた受験生なのよ?あんな物いらないじゃない。漫画を読む時間があるなら勉強しなさい!


『嘘でしょ・・・』


全巻揃ってたのに!


今頃燃やされちゃってる・・・?






『燃やすなああぁあ!!!』




ガタッ



名前は席を立った。


『あれ?』



「名前」


後ろから呼ぶのは親友の奈々。


苦い顔をしてほれ、とあごを出す。

目線は、名前の前。


『・・・』


奈々の目線の方向に目をやれば、額に血管が浮き出ている先生の姿。

「苗字・・・受験生がよくもまぁぐっすり眠れたもんだ・・・」



『あ、あはは・・・寝るの得意ですから!』


夢か・・・よかったぁ・・・


ホッと息をつくと先生が声を張る。


「放課後、職員室に来い!!!」




ドッとクラスに笑いがおきた。



ああ、冴島(さえじま)君にも笑われた・・・




名前はしょんぼりしながら、席に着いた。




−−−−−−−−−−




『あ〜しぼられたしぼられた』


「あんたほんっと馬鹿だよねぇ・・・一体何の夢見て立ち上がったの?」


『あのね、部屋にあるはずのonepieceが全巻捨てられちゃったの!あれはマジで夢でよかった・・・』


ホッとする名前に奈々はああ、あれ。と何か思い出した様に言う。


「おばさん、ゴミに出してたの見たよ」


『うっそ!!!え、正夢!?』


「ううん、嘘」


『・・・もー!!』


舌をだす奈々に名前はドッと疲れが出た。

「はは、ごめんごめん!なんかおごるからさ、ちょっと付き合ってくれる?」


『・・・それは、結婚を前提に、ですか?』


「・・・そっちの付き合うじゃないわあぁ!!」


バコォオン!


名前は殴り飛ばされた。


が、すぐ戻り。


『冗談じゃボケぇええ!!』



奈々を蹴り飛ばした。



が、すぐ戻り。



ほっぺたを引っ張り合っていると、後ろから男の人・・・男の人達が来た。



「やあやぁ、お姉ちゃん達仲いいね」


「ちょっとさ、俺らと遊ばね?」


「まだ夜まで時間あるし。行こうよ」





・・・うあ。


イケメンばっか。


冴島君には劣るけどね。


「いや、いいです。私たち行くところあるんで」


行こ、名前。と奈々に手を引かれる。



「ちょ、待てよ。少しぐらいいいじゃん」


ガッと捕まれたのは名前の腕。


な、何ぃいい!?


やば、男の人の力には・・・


『・・・勝てるんだなこれが』ニィッ




ぐるんと捕まれている腕を回し、男の腕をその背中にくっつけた。


「さすが名前!」



口の端をあげて言う奈々。


「この尼ぁ・・・なめてんじゃねぇぞこるあぁあ!!!」


突っ込んでくる男を避けると、そのまま掴んで投げ飛ばす。


「いってぇ・・・」


『私巻き舌できないんだよね。教えてほしいくらい』


「くそっ・・・行くぞ」


ボス的な人がそう言うと周りもそれに付いていく。


『はー。しつこかったね・・・』


「本当・・・あんたいて良かったよ。それで、さっきの話」


『ああ、おごってくれるやつ!いいよー』


「んじゃ、行こっか」


『どこに?』


「マック」
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