runawayブック

□第一部
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海兵「名前様!あれは・・・!?」


ニッ『さあ・・・あたしにもわからない!』

満面の笑みで言う名前に、海兵達は「?」を浮かべた。


『わからない。けど、行けばわかるかも・・・でしょ?』


海兵「し、しかし」

ぜんそくぜんしーん!!


半ば無理やりに船を進め、その不思議な壁を突き抜けた。


壁を抜けると、霧がうすく立つ島が目の前に現れた。


真っ白な町の遺跡は夢と全く一緒。

島の頂上には、あのドーム型の建物があった。

違うのは、その建物が輝いていなかったこと・・・


海兵「この島には誰もいないようです」

見回りから帰ってきた海兵が言った。


あの夢は誰かからのメッセージかと思ったのに・・・でも、夢に出てきた島であることは間違いない。


『あたし1人で見てくる』

そう言うと、全員に猛反対された。

誰もいないならいい、という訳ではないらしい。

電伝虫を持つことで渋々OKを出してくれた。


島を進み、遺跡を見つめる。

崩れた民家の1つ1つに、紋様が彫られていた。


『・・・これ・・・龍・・・?』

古代エジプトだとか、メソポタミア文明だとかに出てきそうな龍の紋様。

ここの目印のようなものなのだろうか。


名前はさらに島を進み、頂上まで来た。

目の前のドーム型の建物をまじまじと見る。


『ここにも、龍の・・・』

正面に大きく彫られている龍は他の民家とは違い、淡い紫の玉をくわえていた。


『玉だけはずせる・・・?』


その玉を龍の口からはずすと、建物に縦に切れ目が入り、まるで自動ドアのように入り口が開いた。

『・・・わあ』


玉を手に、中に入る。

外からの光が中に差し込み、とても美しく、神秘的だ。

天井、壁、床には何かが描かれていたが、かすんだり崩れたりしてよくわからなかった。

しばらく眺めていると、手の中の玉が急に輝き出した。

『ちょ、何・・・!?』

同時に、描かれている壁画も光り出した。

その時、初めてその絵が何かわかった。


『うそ・・・あた、し・・・!』


天井には少女と龍、壁には少女と少年、床には何やら黒い集団が描かれており、少女はどちらも同一人物だった。

その少女は髪の長さから制服、顔立ちまで名前にそっくりだった。


玉と絵の光はどんどん強くなり、名前は眩しさの余りに目を瞑った。


数秒後、まぶたの上から光が収まったのがわかった。

ゆっくり目を開けると、目の前には深緑色の髪に金色の瞳をした17歳前後の少年が立っていた。


「よかった、ちゃんと届いていた。何とか夢には入り込めたんだ・・・」

固まって言葉が出てこなかった。


人なんていなかったのに、この数秒間で一体何が起こったの・・・!?


しかもこの人・・・



壁画の少年なんだけど・・・・・・!


『あ、あなたは誰?光が出たと思ったらいきなり現れて、夢の事も・・・あれ、さっきまで持ってた玉がない!』


ついさっきまで手の中にあった玉が、いつの間にか消えていた。


「これ」


彼が指差したのは、彼の首にかかっている数珠のような首飾り。

「これがさっきの玉、宝玉だ。この宝玉は俺たち龍族の証なんだ」

『龍族!?』

「俺は龍弥。異界から来たりし娘、名前の守護者だ」

『………』

唖然。

何が何やらわからないと言う様な顔をしている名前を見て、龍弥はフッと優しく笑った。


「・・・俺たち龍族には、ある伝説があるんだ」

『伝説・・・?』

「そう・・・ 

――異界より来たりし娘、時と悪魔を司る。 その娘、未来の運命を導くであろう。天より降り立ちし我ら龍族、娘を護ることが使命であり、さだめである――










−−−−−−−−−−−−


やっと龍族を出す事ができた・・・

 
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