runawayブック

□第一部
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船が使えると知った名前はこ一年、毎日のように海兵を連れて海へ出る事が多かった。




島を巡り、買い物をしたり島の住民とおしゃべりしたり。


海兵はただ単に島巡りだと思っていた。


だが、名前はただの島巡りをしている訳ではない。


『(毎晩のように夢に出てくるあの島・・・いくら聞いても知ってる人いない。でも、ただの夢とは思えない)』


やけにはっきりした、意味ありげな夢を毎晩のように見ている。


気にならない筈がなかった。


『(この島でも情報はなしか)・・・そろそろ帰ろう』


海兵を連れ、海軍本部へと戻った。


セ「帰ったのか」


『うん。今日行った島も、すごくいい所だったよ』


名前はあまり目を合わせずに歩き続ける。


セ「・・・この一年、毎日のように海へ出ているな」

『だって本部にいたって、特に何もすることがないんだもん!』


セ「お前は未来を知っているんだ。情報提供くらいしてもいいんじゃないか?」




名前が最初に言った「シキが脱獄する」という予言は、話してから数週間後、事実となった。




海軍はもちろん対策を練ったが、結局取り逃がしてしまった。


だが、この事件により、名前が未来を知っているという事が証明されたのだ。





『・・・そのせいで未来が変わるから嫌』


センゴクが口を開いたのがわかったが、言葉を耳にする前にその場を去った。


セ「・・・何を考えているのか・・・」



−−−−−−−−−−−−



自室に戻った名前は、ボスンと倒れ込んだ。


『はぁ〜・・・なんでこう勘がいいんだろう。まぁ、ただあたしの夢を確かめたいだけなんだけどね』


勝手に勘違いさせとけばいっか♪明日は図書室で調べてみよう・・・


そのまま名前は眠りについた。



深いきりの中に1つの島。


近づいていくと、真っ白な遺跡・・・


あぁ、またあの夢だ・・・


でも、何か違う・・・


・・・遺跡だ!いつも見るのとは別の遺跡だ。

ドーム型の神殿のような建物。


その建物だけがぼんやりと金色に光っていた。



−−−−−−−−−−−−



『うーん、・・・』


本部の図書室で、沢山の本を隣に積み、分厚い本を読む名前。


今朝見た夢で頭がいっぱいだった。


『あの建物はなんだろう・・・しかも、光ってた・・・』


何のメッセージ?


いや、まだメッセージと決まった訳ではないが。


しかも、いくら探しても夢の島の特徴と一致する島が見つからない。


「西のある海域には、誰も近づくことが出来ない島があるらしいよ」

『!?』


いきなり真後ろから聞こえた、よく知っている声。


バッと振り向けば、クザンが立っていた。

『・・・誰も近づけない島・・・?』


ク「そ。おれが海を散歩してたら、ウワサで聞いたんだ」


海を散歩、ね・・・


この人だからできる事だ。


ク「センゴクから聞いたよ。何か企んでるんだって?」

『企み?そんなんじゃ・・・ただ、あたしの夢に出てくる島の存在を確かめたいだけ』


毎晩のように見るのと、今日また新たな進展があったから、と説明した。


すると、クザンは積み上げられた島についての本を見ながら、なるほど。だからか・・・と呟いた。


その誰も近づけない島は白い遺跡があるかと聞くと、残念そうに どんな島かはわからないと言った。


クザンにお礼を言うと、さっさと船を出す。


大体の位置は教えて貰ったが、地図を見るとその辺りには1つも島がなかった。


しかし、何人もの人から聞いたウワサらしいから、存在するとしか思えなかった。


海兵「・・・この辺りのはずです!」



『まじか』


360度、いくら見回しても島なんて1つも見えない。


見えない。


・・・見えない・・・? 


『・・・見えない・・・だけ、かも』

海兵「は?」



『ちょっと銃貸して』


一発。


玉はそのまま飛んでいった。


今度は逆方向へ、二発目。


・・・景色が歪んだ。


まるで50m先に水の壁があるかのように、玉が当たった瞬間、波紋が出来た。


海兵「な、なんだ!?」


もう一発撃った。


やはり先程と同じ。


『ビンゴ♡!!』
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