runawayブック

□第一部
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はぁ・・・はぁっ・・・


何でこうなの・・・!?



お母さんは勉強しろ高校行けってうるさいし

ゆみはお母さんにべったり


影で笑ってるのを何度も見た


奈々は勉強してるだろうし


『・・・行くところない・・・』


とりあえず、近くの大きな公園に行った。噴水もある、ここらじゃ有名な場所だ。


ベンチに座り、ため息をつく。


周りを見ると、至る所にカップルがいた。

夜の公園はだいたいこんなものだろう。


マックでの事もあり、より気持ちが暗くなった。



「あっれー!?君、さっきの子じゃん」


・・・夕方絡んで来た奴らか。


「俺らの仲間をよくもイジメてくれたな」

奥にいる奴は手を吊っている。

投げ飛ばした時におかしくしたのだろう。


「かりはきっちり返さないとなぁ」


ニヤニヤしながら言うボス?は段々近づいてくる。


チラッと周りを見ると、さっきまでたくさんいたカップルはもう遠くにいて、こちらを見ていた。


・・・巻き込まれたくない、か。

目の前の近づいてくる男に目を戻す。


「あ?怖いか?」


『別に。さっきはあたしより弱かったじゃん』


「まあな、確かにあんた強いぜ?だが、これには手も足も出ねえだろ」


出したのは果物ナイフ。


『っ・・・犯罪じゃん』


「そうだよ?んなこたぁわかってる」


『・・・!』


逃げようと走り出すも、周りの男達に抑えられる。


「とりあえず、車乗せるか。俺ら全員でたっぷり可愛がってから、何もかも忘れさせてやるよ」


ヒャアハハハ!


なんて汚い笑い方をするんだろう。


このままじゃ殺される・・・!


誰か・・・といっても、もう周りに人はいない。


噴水の音が暗闇に響く。



『・・・っ!』



思い切り目の前の男の腹を蹴飛ばした。


「ぐっ・・・!?」


そのすきに抑えている後ろの奴らを振りほどき、全力で噴水の場所まで走った。


「くそったれがあぁあ!!」


4・5人でいっきにこちらに向かって走ってくる。


・・・足が、動かない・・・!!


膝がガクッと落ち、水の中に転んでしまう。


「ヘヘ・・・もーう逃げらんねぇなぁ」


ペチペチとナイフで遊ぶ。


『!!・・・イヤ!!』


「この・・・暴れんじゃねえ!!」


ヒュッ


「・・・あーあ・・・だいじな制服が切れちゃった」


「まあすでに濡れてるがな」


切られたのは、リボンの下。



肌にも刃は届き、ツウっと血が流れる。


『っ・・・』


目から溢れ、こぼれ落ちる涙。


「ぎりぎりまでやるか」


ビリビリとスカートは裂かれ、上着は脱げ、ブラウスもボロボロ。



名前はもう何が何だかわからなくなり、頭がぼうっとしている。


だが涙は止まらなかった。


「っとお、そろそろいいだろ」


ナイフをピンッと立てると、刃の先を向けてきた。


『・・・!!』


それを見てハッとした。


だが暴れる力すら体に入らない。


『・・・や・・・めて・・・!!』


ずずっ・・・



『!?』


急に自分が転げていた噴水の底が柔らかくなった。


何も気づかずに近づいてくる男。


『!!』


どんどん柔らかくなっていき、ついには泥沼のように沈み始めた。


「・・・何してんだ」


『・・・』


なんでもいい、この場から逃げられれば・・・


名前はぬかるんだ噴水の底に自ら両手を突っ込み、吸い込まれていった。


「お、おい…何だこれ」


「この下はコンクリートだぜ!?」

「う、うわぁああ!!」



男達はナイフを放り投げ、逃げていった。


『この先は何があるんだろ』


危機を免れた今、先が気になってしょうがない・・・



・・・・・・。



そのまま、底がなくなった底へ・・・





 
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