log

小説とは言えない没文や会話文置き場です
◆蘭マサ 

頼むから、笑ってくれ。
何で泣きそうなんだよ。
俺は、そんな簡単に泣くような奴じゃないだろう。

そう自分に言い聞かせれば言い聞かせるほど表情はどんどん歪んでいくのが、自分からは見えなくてもわかる。


アイツを抱きしめていた身体からは既に熱は消えているというのに、未だに消えないこの温もりが、俺を一層に苦しめた。


…もう、終わりにしましょう。


何で。とは言わなかった。
いや、言えなかった。

アイツがあまりにも苦しそうな、辛そうな顔をしていたから、何も言えなくなった。


ゆっくりと頬を濡らしてゆく液体の正体を俺は受け止めたくなくて、でもそれを止められずにぽたり、ぽたりと量を増し、流れ、落ちる。


瞳を閉じ、焼き付けた姿を思い出すと、どれも幸せそうに、だけど少し恥ずかしそうに頬を赤く染めて笑うアイツの姿ばかりが浮かんで来た。


そこで俺は初めて、あの時の俺の言葉が別れた原因だった事に気が付き、今更事の重大さを思い知らされたのだった。


「×××××」

2011/12/18(Sun) 08:55 

◆蘭マサ 

「狩屋」


凜とした声が部屋に響く。

気が付かなかった。一体いつの間に俺の部屋に入ってきてたんだ。


「玄関の前にいた人にお前の部屋はどこかと聞いたら、にこにこしながら教えてくれたぞ」


ヒロ兄、か。

何の許可もなしに、ずかずかと二つに束ねたピンクの髪をゆらゆら揺らしながら俺の方に迫ってくるその先輩。


「何です…、…ッ!?」


抱きしめられたのだと悟った。

先輩の匂いがした。
昨日、こうしてきつく抱きしめられた時と変わってない、心地の良い香りが俺の鼻をくすぐった。


心地良い日には心地良い香りを。

2011/12/17(Sat) 16:30 

[TOPへ]
[カスタマイズ]



©フォレストページ