いいんじゃない?付き合ってあげる」

「え?」

思いもよらない言葉だった。
最初は時間をつぶすのは映画が最適だ、と幼馴染の斎藤君が
教えてくれたので、言ってみたけどあっさり拒否。



沖田さんの好きなことを考えていたら、前にカラオケはけっこう好きって
言ってたことを思い出した。
私は苦手だけど、沖田さんが好きなら、と提案するがこれも拒否。


何がいいのかわからない。

でも、映画もカラオケも拒否ってことは、もしかして二人で
一緒に何かするのならいいのかな?

でも、そんなこと、すぐには思いつかない。
そもそも二人で一緒にできることなんて買い物くらいしか思いつかない。
なのにスタスタと歩いていってしまう沖田さん
このままでは本当に行ってしまう!

慌てて言葉を絞り出す

「か、買い物、は・・・・・・」

つきあってあげる

まさかの言葉に目を丸くしていると

「どうしたの?買い物、行くんでしょ」
「あ、は、はい!」
「すぐ隣の駅に大きなモールができたんだって。
そこでいい?」
「はい!」

一度行ってみたかった新しいモールを提案されて自然と足が浮き立つ。
あのモールは行ってみたかったけど、中学生でいくには
ちょっと勇気のいる場所だった。

「ほら、早く歩かないとおいてっちゃうよ?」
「ま、待ってくださいっ」

足早に去ろうとする沖田さんを私は必至になって追いかけた。

「へー、中はこんなんなんだ」

太陽の光がモール中に広がるような明るいつくりの建物の中へ
1歩入るとそこは別世界だった。

手を繋いで並んであるくカップルや仲良さそうな老夫婦、
それに大人の女性達が華やかな服で楽しそうに話している。

「・・・・・・すごいですね」

煌びやかすぎて思わず息をのんでしまう。
ショーウィンドウに飾ってある洋服はお小遣いでは到底買うことのできない
金額で、喫茶店もおしゃれで少し高めに感じる。

「さすがにこの洋服はプレゼントできないや」

ショーウィンドウに飾られている洋服の金額を見て沖田さんは肩をすくめる。

「高いですよね。でも、とてもきれいです・・・・・・・プレゼント?」
「反応遅すぎ。よく今まで誘拐とかされなかったね」
「誘拐ってそこまで鈍くないです!」
「あっちのお店のなら買ってあげられるけど、どうする?」

沖田さんが指さす方向を見ると、小さな洋服がディスプレイされている

「お、沖田さん、あれって・・・・・・もしかして」
「うん、子供服。千鶴ちゃんにはあっちなんじゃない?」
「た、確かに身長だって小さいですし沖田さんからみたら
まだまだ子供かもしれませんが、洋服は大人のを着てます!」

「えー、そうかなぁー」
「沖田さんっ」

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