徒歌:短編
□再挑戦
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僕はあの日、押し寄せる不安に負けて泣いた。
勝つ術なんて分からなかった。
だって、手には何も無かったから。
希望を持てる程の価値も、自分を信じる程の良さも、僕には見つけられなかった。
情けなさが募った。
ひたすら情けなかった。
頭の中は自分への失望と怒りでぐちゃぐちゃになった。
でも、自分のことだけに夢中になりたくなかった。
僕は、助けを求めてしまった。
助けを求めても、何の意味もないことを知っていたのに。
結局、後悔が残った。
成長はしたけれど、心の中にしこりが残った。
僕は、乗り越えられなかったのだ。
僕はまた戦いにいく。
今度は負けられない。
乗り越えられなかった壁を乗り越えて、不安を味方にしてみせる。
自信がないなんて、そんなもの、嘘でもいいから信じてみせればいいのだ。
不安に勝つのなんて、はったりの自信でいいのだから。
よろしく、僕よ。
覚悟してくれ。
健闘を祈る。