羅針盤と銃一丁

□後編
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「…退魔の剣を抜くには条件がある」



しゃん、と何処かで鈴が鳴る



「“形”、“真”、“理”の
3つが揃わなければ、剣は抜けぬ」



投じられた言葉は、
水溜まりに投げられた小石のように緩やかな波紋を描く。

常人が聞いたら馬鹿馬鹿しいとしか言えない台詞も、今だけは誰もが納得しうる力を秘めていた。



「モノノ怪の“形”を為すのは、
人の因果と縁

“真”とは事の有り様、

“理”とは心の有り様 」




す、と吸い込まれた息が、
皆の呼吸を無意識に掴む





「よって、皆々様の、


“真”と“理”、
お聞かせ願いたく 候 」






揺れたのは、
人の心かモノノ怪の心か。




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