羅針盤と銃一丁

□“願"
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「何とかしてくれえええええええええええええええええ!!」





弱い、弱い生き物の叫び。
泣きそうな縋るような、頼るような甘えるような、それでいて凄く強い“願”。




坂井の屋敷に響いたその声は、
水に広がる波紋のように
静かに染み渡っていく。










        −凛−




               








何かが変わる音がした。







突如、
襖を染めていた朱の憎悪に波紋が走る。
次いで、その中心から溢れんばかりの紅の光が溢れ出した。





それは、

どこまでも透明で

力強くて



そして悲しげであった。








やがて、光の渦に一つの人影が現れて、






「…“願”、聞き届けやしたよ」







数刻前に聞いたその声は、
何故かとても懐かしく思えた。








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