羅針盤と銃一丁

□すがる恐々
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ちりん、ちりん、




響き続ける鈴の音は、徐々にこちらへと近づいて来ている。



…ちりん、




不意に音が途切れた。

気配は、はたりと立ち止まる。



それは、
丁度薬売りと彩売りの真正面に位置する場所で。



「…塩の囲い、効果有り、ですねぃ。」


彩売りがぽつりと呟く。


それを聞いた小田島は
はっとした表情で薬売りを見る。

彼は、障子に意識を集中し向こう側の気配を探っているようだった。




ちりん、





びくり、と加世が肩を震わせる。


再び鳴り始めた鈴の音は、
塩の線を観察するかのように平行に移動していく。

それを頼りに、
薬売りは小走りに追いかける。



ちりん、



ちりん、


ちりん、
ちりん、



徐々に間隔を狭める旋律に、
薬売りもその速度を上げていく。


彩売りは、左足を軸にして
音に応じ体をそちらへ向けていった。
その手は、依然として懐の銃へとかけられている。





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