羅針盤と銃一丁

□始まりの音
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「化猫…!?」



訝しい気に復唱する声に
薬売りは更に畳み掛ける。





「物の怪の形を成すのは、
人の因果と縁…」



その言葉に、彩売りの目が細められた。






「よって皆々様の真と理」







男の口は慣れたように淡々と、
しかし有無を言わさぬ重みを含ませてそれを紡ぐ。









「お聞かせ願いたく、候」







      凛…






澄んだ鈴の音が、静寂の空間に
長くその余韻を響かせた。










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