羅針盤と銃一丁
□もう帰って来ない
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「……………、」
薬売りがぴくりと動き、
彩売りがくつりと笑った。
「おい、今、何か…」
伊國が顔をあげる。
――だん!!!
「お、おおおおお、小田島様あ!?」
小田島が気配に反応し、刀に手をかけ襖の向こうを睨みつけた。
「聞こえなかったか?」
問い掛けるように呟いたものの、
反応は帰ってこない。
伊國は首を傾げる。
「………いや、何でもない。
失礼致した。」
小田島も、張っていた気を緩め
刀から手をはなした。
しかし、次の瞬間、
――う゛ぁぁああああああ!!
叫びとも泣き声ともとれる絶叫が屋敷を振動させた。
、