羅針盤と銃一丁
□流れた、
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花嫁の血が、流れた。
「あああああ、あッ、真央…!?」
「斬られて、いるぞ…!!!」
「息がありませぬ!!」
「何処か曲者は!」
皆が動転した声で騒ぐ中、
恰幅のよい男が辺りを見回しながら刀へ手をかける。
勢いのままに引き抜こうとして、
すっ、とそれを阻む手があった。
その手の主は、
そのまま刀をさやまで押し戻して、
――キンッ
静まりかえった空間に発した
鼓膜が奮えるような低音は、
「これは、
曲者の仕業、じゃ、ない
しかも、恐らく、
それでは斬れん奴が相手だ」
響く、響く。