鬼さんこちら、

□錬金術師の苦悩TTT
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こんこん、


寝てしまったニーナをベッドに横たえていると、ふいに扉を叩く硬質な音が響いた。



誰だろう、と思いつつも、
この屋敷にいる人はおのずと特定されている。
確信的な口調で名を呼べば、
開けた扉からは予想通りの顔が覗いた。



「何かありましたか、タッカーさん」


「…ああ、ちょっと、手伝ってほしい事があるんだ…」



そう答える彼の顔は蒼白で。
異常な雰囲気に、私は自然と喉が引き攣るのを感じた。



「…手伝ってほしい事?」



復唱してみた所で、なんの時間稼ぎにもならない。
いや、そもそもなんのための時間稼ぎだ?


自然に脳裏に浮かんだ言葉に、
疑問を抱く。



逃げろ、
逃げろ、
逃げろ、



警報をならす本能に、
逆に足が竦み上がった。

逃げる?タッカーさんから?何故?理由がわからない。だけど、本能が煩い程告げるそれを無視することも出来ない。それに、逃げるならニーナも一緒に行かなくては。一人にしてはおけないじゃないか。





その時、





「…エリーおねーちゃん…?」






気がつかなかった。


眠い目を擦りながら起き上がる存在に。





「…っニーナ!」



咄嗟に彼女のほうを見て、








−がんっ!!






「…っ…ぅ…」





後頭部に思い衝撃を感じたと同時に、
私は意識を手放した。





「……ニ、……ナ……」




嗚呼、護らなくちゃ

あの子だけは…

あの子だけは…!







それだけが、私の頭の中を閉めていた。




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