▼高等部・男主T


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壇上では、学園総代表の櫻野が挨拶がはじまっていた。

そして今宵はいつも以上に、皆の視線が壇上へと向けられていた。

いつもなら軽く聞き流す挨拶だが、今日はプリンシパルが珍しくそろっているということで、皆の注目度は高い。

この光景をみたのは、どれくらいぶりだろう。

学園総代表に加えた、能力別クラスの各代表5名。

特に、詩が壇上に現れるのが久しぶりだった。

そして、詩には皆の視線を壇上に惹きつけるほどの知名度の高さと人気があった。

当の詩は、壇上では眠そうにしていて欠伸までしていた。

そんな詩をバシっと叩く殿。

「おい気をつけろ、静音さんに睨まれてるぞ」

殿は声を落として注意する。

確かに、振る舞いに厳しい静音からの威圧感は詩でも感じれた。

それでも詩は気にしていないのだからすごい。

「いったっ!叩くことねーだろ!」

詩はベっと舌をだす。

「こいつ!親切に注意してやったのに!

初等部の棗のほうがまだおとなしく座ってたぞ」

詩の悪びれない態度に負けじと殿もムキになって言い返し始める。

こうなってしまっては誰もとめられない。

「うるせーな、俺のことガキって言いたいのか?」

「お子様は黙ってろって話だばーか」

「はっ!ばかっていたなこのばか殿!!」











当たり前のことだが、式が終わると2人まとめて仲良く静音に怒られていた。

「あなたたちは立場というものをわきまえているの?

このクリスマスパーティーは生徒だけじゃなく、本部の来賓の方々もいらっしゃっているというのに...

あなたたちには壇上にたつという自覚が...」

「わりーわりーっ でもさ、秀が今日は無礼講でって言ってたじゃん!」

演技だとしても殿は申し訳なさそうに黙っているのに、詩は静音の話の腰をおる。

「詩。そういうつもりで言ったんじゃないんだけどね?」

櫻野は笑みを浮かべているが、ひきつっている。

その笑みは、静音より怖い。

「わるかったって、秀」

今日の詩は一段とそわそわしている。

無理もない、詩にとっては久しぶりのイベントなのだ。

「今日のところは行っていいよ、詩」

その言葉に目を輝かせ、詩は殿を引っ張りにぎわうパーティーの中へ溶け込んだ。

その後姿を、秀一と昴は優しい眼差しで見つめるのだった。

「今日の詩、一段と楽しそうだな」

昴は呆れながらもどこか嬉しそうだ。

「ああ、よかったよ。詩はああじゃないとな」

秀一は微笑むのだった。

今までの行事では、詩がしばらく出席していなく、物足りないと思っていた昴と秀一。

でも今日は、笑顔の詩が見れる。

―やっぱり、詩がいないと.....

密かにそう思う2人だった。






「あっ殿先輩、詩先輩、翼先輩、美咲先輩!」

蜜柑が嬉しそうに先輩たちのもとによる。

「よー蜜柑っ」

詩は蜜柑の頭をポンっとなでた。

続いて殿は、

「チビー可愛いじゃん」

といつもの調子。

そこへ.....

「おやおや、みんな勢ぞろいだねー」

と、ナルを含めた体質っこ(流架&スミレ)と陽一がやってきた。

「おっ陽一!久しぶり〜」

詩は流架に抱っこされている陽一をなでる。

「あれー?何だぁ?今日は機嫌わりーのかぁ?」

詩は心配そうに顔を覗き込む。






近くでは翼がぼそっと一言。

「詩ってさ、ムカつくけど正装似合ってるよなー」

「ムカつくって何だぁ?翼ーっ」

「げっ聞いてたの?」

「聞いてちゃ悪いかこらー」

「褒めてんだからいいじゃんか」

「一言余計なんだよおまえはっ」

恒例の兄弟のようなじゃれあいを、皆はほほえましくみているのだった______






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