▼高等部・男主T


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―会議室前。




「ここだな」

詩はそう言って、会議室の扉に手をかける。

その時、扉を開けた瞬間に何かを感じた詩は、

「危ない!」

そう言って、棗を引っ張り扉の裏に隠れる。

それと同時に、



―ヒュンッ




という、あの風の音。

まともにくらっていたら、皮膚が裂けていてもおかしくない。

そう思いながら、「棗、もういいぞ」と言い会議室へ入る。

そして、視界にまず入ったのが、額にわかりやすく青筋をたてる、颯。

「ご、ご、ご、ご、ごめんなさい...っ!!!!詩兄!」

颯はその場で崩れるように土下座する。

「バカ野朗!ケガすんだろっ」



―ガンっ



鈍い音がし、颯が頭を抑えうずくまる。

詩が一発お見舞いしてやったのだ。

「ごめんなさい、ごめんなさい!!.....だって、まさか任務終わったばかりの詩兄がこんなに早く来ると思わなかったし、棗だと思って。

アイツ最近調子ノッってるからムカついてて....」




―ガンっ




二度目の制裁。

「う...詩兄ぃ....」

颯は痛さから涙目になる。

「二度とこんなことはするな、わかったな?」

詩の周りには感情とともに式神が激しく舞っていた。

詩が本気で怒っていることは容易にわかる。

「は...はいぃ....」

颯は大人しく返事をするのだった。

「反省したならいいよ、もう顔あげろ、颯」

さっきとは打って変わって、詩は颯の頭をわしゃわしゃと撫でる。

いつの間にか式神もいなくなっていた。

詩がそうすると、颯はすっと顔をあげ、

「詩兄〜〜〜!」

と言って詩に抱きつく。

「おい、颯よせよっ」

振り払おうとする詩に、颯はお構いなし。

すっかり詩にべったりだった。

颯は危力系の代表、詩を兄のように慕っていて、尊敬もしていた。

詩もまた、時には厳しく、時には遊び相手として弟のように颯をかわいがっていた。






「もーう!少しは静かにしてよねー」

ここで、じゃれあう2人に苦情の声。

ルイだ。

「あ、ごめん。悪かった悪かった」

詩は抱きつく颯からするりと抜け、ルイの隣のイスに腰をおろす。

颯は今度こそ大人しく、ソファに寝転んだ。

棗は何やら、窓際で外を眺めている。






机に向かっているのは、詩とルイと八雲。

同じ危力系でありながら、こうして顔を合わせるのは久しぶりだった。

ルイも八雲も詩とは歳が同じで、付き合いはけっこう長くなる。







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