▽初等部・男女主T
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―みなさん、文化とアリスの融合の祭典、アリス祭の幕開けです。
今回は残念ながら、イベント祭は諸事情により中止となりましたが、
4組の個性と多彩な技のぶつかりあいに大いに期待します!
この日のために準備してきた力≠、1〜2日目模擬店祭、3日目、パフォーマンス祭、最終日、後夜祭で
4組が正々堂々思う存分発揮してくれる事を望みます_______
アナウンスが流れる中、蜜柑は寝坊したせいでいろんな事が重なり、今頃開会式にきていた。
しかも間違って、技術系と潜在系の列のあいだにきてしまうという誰もが呆れる所業。
そんな蜜柑は、委員長と蛍を見つけ、駆け寄った。
もちろん委員長に、「ここは特力の列じゃないよ」と言われ、蛍からは「バーカ」の一言。
しかし蜜柑はさっきあった、すごいこと≠2人に教えたくて教えたくて仕方がなかった。
「ウチな、すごい事あって_____幹部生の人らに.......」
と、話し始めた蜜柑だが、ふと壇上が視界にはいり、
「あっ」
と声をあげる。
「あの人、 さっきの____」
蜜柑が指差した壇上では、学園総代表、櫻野秀一が挨拶をしていた。
蜜柑は寝坊し、慌てて初等部へ。
しかし開会式は中等部のグラウンドでおこなわれることを思い出し、さらに慌てて........
迷ってしまう。
更に、急いで走って転んでしまう、という不幸続き。
転んで座り込んでいたときに、ちょうどそばをとおりかかったのが、幹部生たちだったのだ。
「どうしたの?____初等部の子だね、転んだの?」
最初に声をかけてくれたのは、少し長めの黒髪に、中性的な顔立ち。
そして青い瞳のきれいな男子生徒。
どこか、誰かに似てるなと思ったが、蜜柑はそれを思い出せずにいた。
そうしているうちに、学園総代表の櫻野秀一も声をかける。
「傷は彼が治してくれるから」
そういわれ、前に出たのは学園副代表兼、潜在系総代表。
この人も、誰かに似てる!と思ったが、次に起こった出来事で、蜜柑の思考は放棄される。
副代表は、転んだ傷で痛々しい蜜柑の膝に手をかざす。
するとやわらかい光がでて、傷はあとかたも無く消えてしまった。
蜜柑はその光景に目を見張るばかり。
しかし、ハッとして立ち上がる。
助けてもらったのに、お礼を言わなければ!
「ありがとうございましたっ
ウチ、初等部B組の佐倉蜜柑いいますっ」
「佐倉......もしかして、君、無効化の......?」
総代表が、ふと思い出したように言う。
「なるほどね。琥珀のパートナーって君のこと...」
笑顔を絶やさない青い瞳の高等部生も続けて言った。
まさか高等部の人が自分のことを知っているなんて......
蜜柑は驚く。
「え!?何でウチの事知ってはるんですか?」
その問いに総代表は、
「さあ、何でだろうね....」
と、曖昧に返し、青い瞳の彼もやわらかい笑みを向けるだけだった。
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