▽初等部・男女主T

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「どういうこと!?」

蜜柑の中に、学園への不信感がつのってゆく。

「何で!?音沙汰なしって.....

ウチいっつもじーちゃんに手紙だして.....」







「届いてるわけねーだろ」

蜜柑の混乱を途中で断ち切る声。

棗だった。

「あいつら教師がバカ正直に外との接触を許すかよ。

特にお前みてーな悪目立ちのバカ.....めでてー奴」

棗は冷めた目つきで言い放つ。

「棗っ.....何をいきなり......

鳴海先生ちゃんと約束してくれたもん。

ちゃんとじーちゃんに手紙届けてくれるって」

蜜柑は信じられないと反論する。

「じゃあ現にお前のじじいに手紙が届いてないのは何だよ」

「それは.....」

蜜柑は言い返すことができなかった。







「この際だから教えてやるよ。

この先鳴海がお前の手紙をじじーに渡す日なんてこねーよ。

学園にいる大人で信用できる奴がいると思ったら大間違いだ.....

特に俺やお前みたいな目をつけられた奴にとってはな」

「日向」

蜜柑の言われっぱなしにいてもたってもいられなくなったのか、口をはさんだのは琥珀だった。

「ちょっと言いすぎなんじゃない?

それくらいにしとけよ」

棗はそんな琥珀をも鋭く睨む。

「俺は事実を言ってんだ。

それの何が悪い。

第一、こーゆうのはお前が一番知ってんだろ。

知らないふり決め込むのは勝手だけどな」

教室に緊張感がただよっていた。







「なあ琥珀、どういうこと?

琥珀、なんか知ってるん?」

蜜柑の痛々しい瞳を前に、琥珀は目をそらす。

俺の口からは、言えない。

日向みたいな残酷なこと、俺には言えない。

「ごめん、蜜柑...」

琥珀はそれ以上言わずに、教室を出ていった。












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