▽初等部・男女主T
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こうして、当初の蜜柑の
ストレス発散の対象を楽しいことにすりかえる
という目的はどこかへ飛び、
因縁≠フドッジボール対決が幕をあけた。
しかし、言いだしっぺの蜜柑チームの人数は、リンと琥珀を含め8人。
と、思いきや、あの棗といつも一緒にいる流架が蜜柑に捕まっていた。
てことは、理由はともあれ総勢9人。
それでもクラスの半数以上は棗チームだった。
それに加え、棗は流架を連れて行かれ、かなり不機嫌。
やばいほうの本気度が伝わってくる。
「だいたい琥珀くん。
あなたも協力しなさいよ。
琥珀くんが言えば何人かはこっちに来るでしょ」
さすがの蛍姉さん。
これには琥珀も苦笑い。
「いやあ、僕にそんなこというの蛍ちゃんくらいだよ?
まあこれは、蜜柑主催だし。
ここで変に僕が手を貸すより、蜜柑の力でやったほうが、みんなも認めてくれるんじゃないかな。
パートナーだから、いざというときはちゃんと力を貸すのでご心配なく〜〜」
今日の琥珀はやけに放任主義だな。
リンはそう、思っていた。
そのとき、
「リン!頑張ろな!
うち、リンがこっちのチーム来てくれて嬉しい!」
ふいに蜜柑に声をかけられる。
いつもの眩しい笑顔だった。
「当たり前じゃない。
あの時、一緒にがんばるって言った」
屋根裏部屋でのことを、リンは言っていた。
「リン〜〜〜〜!
やっぱり覚えててくれたんやな。
うちら友だちやもんな」
蜜柑がリンに涙を浮かべ抱きつこうとした時だった。
「おいブス、そいつは俺のパートナーだ。
こっちへ来てもらう」
え?
みんな聞き間違いかと思った。
しかし、流架をとられた棗の怒りを思い出し、棗が本気だと察する。
「いやでもあんた!
パートナーゆうても今まで一度もリンの面倒みてへんかったやないかー!!」
蜜柑の言うことはごもっともだった。
「こっちへ来い、リン」
棗に、初めて名前を呼ばれた。
そんなことはさておき、みんな、棗の圧に負けてしまった。
「リンの裏切り者おおおおお!」
いつしか聞いたそれが、また聞こえた。
蜜柑、こればっかりはごめん!
そう思いながらも、棗チームへ移動となった。
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