▽初等部・男女主T
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今日はいつも以上に騒がしくなる初等部B組。
それもそのはず。
今度は琥珀の放った一言が要因。
「また、クラスがにぎやかになることは嬉しいことだよね。
ナル先生。
一度に2人も新入生が来るなんて、本当に楽しくなりそう」
そう微笑んで言って、琥珀は自分の席につく。
未だ状況が呑み込めていない、蜜柑ふくむB組の生徒たち。
「そうだね、琥珀くんの言う通り。
もう一人、仲間が増えます!
緊急に決まったことなのでみんなに言うのはぎりぎりになってしまいましたが、蜜柑ちゃんと同じ、新入生。
五条 リンちゃんです。
はい、拍手〜〜」
そんな明るい声と、まばらな拍手の中、リンはみんなの前に立つ。
....これが、学校。
教室を見渡して、そろいの制服を身に着けた同じ年くらいの子どもたちをみて、リンはまだ慣れぬその環境にどうしていいかわからずにいた。
一身に注がれる皆の好奇の視線。
皆、リンの一言を待っている様子。
「大丈夫。
ここにいるみんなは、君の敵じゃない」
事情は知ってるらしい鳴海が、リンにだけ聞こえる声で言った。
「五条 リンです。
よろしくおねがいします」
初めて口にした自分の苗字。
なぜだか、ここからまた新しい何かが始まるような淡く細い希望が見えた気がした。
そして、教室の中、一番に自分をきらきらしている目で見つめていたのが、蜜柑だった。
あんな目をする人がいるんだ....。
蜜柑の第一印象はそんな感じだった。
だけど蜜柑、そんなあんたに私なんかが救われるなんて、この時はまだ予想もしてなかった....
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