▽初等部・男女主T
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「しかし、琥珀様があの紅蛇に興味をもったとなると、面倒なことになる」
「ええ。
黒猫に続き、琥珀様の周囲には必要のない、存在」
「琥珀様が近づく前に手を回さないと....」
水無月と弥生は男子トイレの前で心配ごとを話していた。
琥珀の世話役、教育係として重要な任務についている2人。
琥珀が次期八神家当主としてふさわしい人間になるための学園生活での責任がすべてかかっているのだ。
「...遅い」
水無月が時計をみる。
「っまさか!」
弥生が言うか言わないか、
水無月は勢いよく男子トイレに入っていった。
「くそっ!やられた!
いない!」
「早く探すぞ!」
ひとりのおぼっちゃまの脱走にしては少し大げさ過ぎるような反応だが、2人にとっては命がかかっている任務である。
もし、琥珀の身に何かあれば、ごめんなさいだけではすまされない。
代々八神家へ仕える家族の身まで危ぶまれる事態なのだ。
その中でも琥珀の精神面への悪い影響だって、立派な解雇の理由になりえる。
さっきの会話から、琥珀が紅蛇へ興味を示したことがわかるのだから、その目的はほぼひとつにしぼられていた。
「琥珀様と紅蛇を単独で会わせてはならない!」
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