▽初等部・男女主T
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ここにきて、どれくらい経つだろうか。
いつも、目を開ければ同じ景色。
コンクリートの冷たい壁と、鉄格子。
窓はなく、いつも真っ暗。
陽の光などしばらく浴びていないから、昼と夜の感覚さえ忘れかけている。
ここは、アリスの犯罪者が収容される専用の刑務所。
強い結界や術が幾重にも施されていて、アリスの使用は不可。
アリスを使おうとするならば、もっと罪が重くなる。
いつもと同じ時間に看守がきて、食事をだしたり見回りをしたりしている。
いつも言葉など交わさないが、今日は違った。
「1256番、面会だ」
看守からそう言われ、牢から出るように促される。
その後ろを、大人しく着いていく。
ここにきたばかりの頃は反抗したが、今ではそんなことしようとも思わない。
ムダな抵抗だと、覚えたから。
しかし、面会なんて初めてだ。
牢からでるのもひさしぶり。
ここはアリスのみが収容されていて、例え囚人どうしでも顔をあわせることは危険とみなされている。
だから他の囚人とも会ったことはなかった。
ほどなくして看守は、1つの部屋の前で立ち止まった。
「入れ」と、一言。
ドアをあけ、中に入る。
目の前には、古びたパイプイス。
それとガラスのパネル。
そのパネルの向こうに、面会者がいた。
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