▽初等部・男女主V


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アリス学園は桜の季節。

新学期を迎えていた。

蜜柑たちも無事、6年生に進級。

何もかもが始まりの春。

生徒会も今期から面々がかわり、始業式では同時に就任式も執り行われていた。





「蜜柑ちゃん、あの人が新生徒会長の五島聖さんだよ」

委員長のいうとおり、壇上でその人は挨拶をしているところだった。

「あの人はほら、去年に引き続き、体質系代表も務めてるんだよ」

蜜柑はプリンシパルの中でみたことがあったなと、思い返す。

「本来、体質系代表は八神翡翠さんのはずだったけど、体調不良が続いていたから、五島代表を指名して辞退していたんだ」

「ああ、琥珀のおにいさんのっ」

委員長はうんうんと頷く。

「翡翠さんが任せたってこともあって、信頼度は折神付き。

だから今年の生徒会も心配ないねー」

そんな会話をしながら、皆、その新生徒会長五島へ温かい承認の拍手を送っていた。






しかしながら、春の温かな陽気にそぐわない、生徒がざわつく発表が出された。

「ふ...風紀隊?!」

蜜柑らはその、耳馴染みのない言葉に不安を覚える。

たった今、新生徒会が新規則と“風紀隊”の設立を発表したのだ。

「多分...この間の琥珀君のスピーチによる棗君騒動で、生徒たちがデモを起こしたことが原因なのかも」

誰かが、そんなことを言っていた。

「学園側にとって、よからぬ態度や反抗的ととられた生徒は、風紀隊に取り締まられて

内申の減点や罰則が課せられるんだって」

何それ...

とりしまり...?

何で...

壇上に並ぶ初等部校長の久遠寺だけが、不敵な笑みを浮かべていた。

「八神の好き勝手もここまでさ...

ここが誰の学園なのか、しっかり思い知らせなければ」







蜜柑の心配ごとは、風紀隊の存在だけではなかった。

最近、棗やリンを見かけないこと。

さらに特力にいっても、琥珀や翼までその姿が見えないでいた。

なんでみんなそろって...

何か、あるん...?

この学園で、なにが....






「...昨年のZ工作員を追って学園生徒数名が、学園外へ秘密裏に脱走した件

今年初めの花姫殿騒動

その後の八神琥珀、日向棗他による生徒扇動事件

いずれのどの件においても君を含め、関わったメンバーについて、こちらとしては大方の調べはついています。

そこで今まで引き伸ばしてきた彼らへの処分について、今日は君に相談があってきてもらいました。

....殿内明良君」

何だ...これ...

見渡しそこにいるメンバーをみて、異様さを感じ取る。

初校長と鳴海...そしてペルソナと、危力の棗とリン以外。

「単刀直入にいうと、君の同級生の櫻野秀一と今井昴

彼らの忠誠心をためしてもらいたい。

いや...彼らのしっぽをつかむといった方がいいかな。

彼らの企みが具体的になんであるか、こちらにとってそれが害になるようであれば...」

あいつらのこと、なぜ...

「それともう一つ、君の特力に出入りしている八神家...

八神琥珀について...

不審な行動があれば逐一報告してほしい。

八神家はなかなかしっぽをださない厄介もの。

おまけに今は、中等部預かり。

これまでは鳴海先生に任せていたものも、今ではそうたやすくいかない。

慎重にその動向を見極めなければ...

最大の脅威として立ちはだかる前に、その反逆精神の芽を、つみとらなければ...」

こいつは、初校長は何を恐れ、何を企んでいるんだ...?








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