▽初等部・男女主U


□32
1ページ/6ページ



棗とリンは会議室を抜け出していた。

たった今、ペルソナからの話が終わり、待機を命じられたところではあったが、このなんともいえない空気のわるさに、

2人が考えることは同じだった。






「これから出動が増えそうだね」

リンが言った。

「ああ。

でも今回ばかりは俺たちに関係なくはないから、胸糞わるさも半減だ」

「うん。

次会った時はもう、迷わない....」

....リンの静かに言うその瞳は冷たさを帯びていた。





モネ、



あんたが何も言わないなら



それが答えということ。



今までの時間が私の勘違いだったならもう________





「...それじゃあ、今井をこのまま御両親に会わせないつもりで...」





―?




話し声が聞こえ、棗と顔を見合わせる。





「....校長命令である以上、仕方ない」

神野の声だ。

「しかし....っ 今井は今後の状況も読めないような重体で....」

岬の声もした。

「...今井蛍の両親は、長らく娘を引き渡すまいと逃げ続けた一件がある。

そこから考えても、校長が面会を許されるとは思われん」

神野の厳しい口調。

「校長の許可が下りない限り、我々には何もできん。

今井のような校長も一目置いていた優秀な生徒がこんな不祥事を起こし、

しかも今回の行動の同行者はあの、佐倉蜜柑ときてる。

そんな状況であの校長が、このままで済まさないことくらい、お分かりだろう」






「ただでさえ、あの娘は____




盗みのアリスをもつ侵入者の、娘なのだから」








棗とリンは衝撃を受ける。

リンのほうは、大方の予想はついていたがこれはもう、確信だった。





「.....神野先生、いつからそのこと.....」

鳴海もいたらしく、その声から動揺しているのがわかった。

「当時の事を知っていれば、大体の予想はつく。

校長がこの件を御存知かどうかはともかく、何も言ってこられない限りは、こっちから何も報告するつもりはない。

鳴海先生、あなたのここ最近の不審な行動も、校長のお気に入り≠ナなければ、すぐにでも審問会に突き出してやりたいところだが.....

他人の心配より、今後の自分の行動にせいぜい気をつけられるんだな.....」

神野は、ますます厳しい口調で、鳴海を突き放すのだった。





少し外の空気を吸いにきたはずが、2人の気持ちは変わっていた____




.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ