▼高等部・男主T


□詩×棗
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棗が学園に来て、その姿、そして目を見たとき、すぐにわかった。

こいつが何か重いものを背負って、生きているんだって....

あらゆることに絶望しきって、希望なんて言葉すらもの忘れてここにいるんだ...って。

暗く紅い目の奥に、深い闇と大きな決心があるような気がしていた。

ちょうど、学園に来た頃の自分と姿が重なった。



ほうっておけなかった。



救ってやりたいと思った。





それが、自分と同じアリスのタイプの運命を背負っているということを知り、なおさら強く思った。




棗を見かけると、いつでもどこでも気を張って周りを警戒していた。

そんな場所を、学園を、棗にとって居心地のいい、肩ひじ張らなくてすむような場所にしたいと思った。

自分があの人にそうしてもらったように......





でも、それは思ったよりもはるかに難しかった。

どうしても、学園にいる時間より、任務へ行く時間のほうが多くなってしまう。

ただでさえ、自分の任務のほかに、他の危力系メンバーの任務も引き受けているのだから.......

学園にいても、本部に行く事のほうが多く、なかなか棗に目をかけてやれない。

自分には、棗の任務を代わりにこなして、体への負担を減らしてやることしかできなかった。

肝心の、心の闇を取り除くことはできなかった。






それでも2年後......





棗の光となる存在が現れた。

佐倉蜜柑

彼女のアリスを聞き、対峙した瞬間、彼女なら棗を救えると思った。

だって彼女は、あの人の.....先生の.......子供なんだから______









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